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もう一時間待っている。『もうすぐ駅に着く』とメールを受け取ったのが三十分前。ところが、なかなか現れないので、『今どこにいる?』とメールをしたのが五分前。でも、その返事はない。
しかたなく、改札口近くで人の流れをながめていると、「ハルカ、お待たせ。レイナです」と声をかけてきた女の子がいた。
「レイナね」
わたしは言った。ほっとした。やっと来てくれたんだ。
レイナはわたしがレンタルした友だちロボットだ。もともとは、遊園地にはクラスメートのマリと行くはずだった。けれど、彼女が家のつごうで急に来ることができなくなったので、友だちロボットをレンタルすることにしたのだ。遊園地に一人で行ってもおもしろくないからね。
「じゃあ、行こうか」
レイナは遅れたことを謝りもせずに、すたすたと歩いて行く。なんて常識がない人(いや、ロボットか)なの。あわてて、彼女の後を追う。
「ちょっと待って。人を散々待たせといて、それはないでしょ。普通、謝るもんでしょ」
強く言うと、レイナはふてくされたように、
「ごめん」と一ことだけ言って歩いて行く。
「何それ。本当に悪いと思ってんの」
「悪かったわね」
感情のこもらない口ぶりで、レイナは応じる。
わたしは後悔した。あーあ、お金ケチるんじゃなかったなあ。
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