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1章:プロローグ
わたしはあの日、翼を見つけた。
この息苦しい檻からわたしを解き放ってくれる大きくて力強い二つの翼。
ずっと昔、わたしでさえも忘れてしまった遠い過去。わたしはその翼を誰かに奪われていた。
でも、やっと見つけたのだ、現れたのだ。
神父様の悲鳴が聞こえる。
教会の至るとこから爆発音が鳴り響く。
天使様が描かれたステンドグラスが派手に割れたかと思ったら人影二つ、一緒に落ちてきた。
わたしの翼だ。
体が心が叫んでいるのだ。この翼はわたしのものだと。
「拒否権はない。私たちについて来てもらう」
「アンタを盗みに来たよ。アタシたちはただのしがない盗人さ」
そうしてわたしは双翼と、彼女たちと旅に出た。
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