給食袋はなぜ無くなったのか

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給食袋はなぜ無くなったのか

俺、火村大我は、ぶっちゃけ今の状態が自分でも理解できなかった。 だって、数時間前まで仲良くしてた奴ら全員が、急に俺をにらみつけてきたんだから。 「火村大我くん、立ってください」 学級委員の水本の声が、教室に響く。水本は肩まで伸ばした髪をサッと払いながら、真っ直ぐに俺を見つめていた。 (なんで俺が立たなきゃいけねーんだよ) 心の中でそう呟いたが、反抗したらますますみんなからの反感を買いそうなので、俺はしぶしぶ立ち上がる。 「あなたは、鈴木くんの給食袋を隠したのですか?」 水本の直球かつ冷静な声に、俺は思わずカッとなる。 「はぁ!んなことしてねーに決まってんだろ!!俺はそんな卑怯な真似をする人間じゃねぇ!」 すると、隣の席の鈴木が立ち上がり、俺を指さす。 「うそだ!おまえ、俺が新しいゲーム貸さないからって、今朝、俺にすげぇ突っかかってきたじゃん!! その腹いせに隠したんだろ?!そうに決まってる!」 「んなことくらいで、隠したりなんかするかよ!!!」 俺は思わずバンッと机を叩く。その瞬間、教室中がシーンと静まりかえった。 まずい、とすぐに思った。 周りの視線が、一段とキツくなったことに気がついたからだ。 俺が黙ると、鈴木はさらに続けた。 「それにおまえ、4時間目の体育の時、赤白帽忘れて一人で教室に戻ったじゃねーか。 教室には誰もいないし、最高のチャンスだ。その時に隠したんだろ?」 「何を証拠にそんな」 「これ見ろよ」 鈴木はそう言いながら立ち上がり、自分の給食袋を掲げる。 白い手提げ紐が付けられた、黒い袋だ。 「この給食袋は、教室後ろの棚にある、ドッチボール箱の裏から見つかったんだ。 見てみろ、あちこちが白っぽく汚れてる」 「それが……なんだよ」 「おまえ今日、体育で白線引く当番だっただろ?」 そう言われて、俺は小さく肩をすくめる。 確かにそうだった。 「おまえは、みんなに見つからないように袋を隠したつもりだったのかもしんねーけど、ここに証拠がばっちりあるんだ。これ以上言い訳するつもりか?!」
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