給食袋はなぜ無くなったのか

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「確かに大我って、単細胞タイプだよな」 「人の物隠すみたいなマネは、らしくない気はする」 褒められていないことは分かるが、俺の身体に、徐々に熱が戻ってくる。 諦めていた何かが動き出し、温かい血液が再び流れ出す。 「つまりさ、僕が言いたいのは……」 月影はもう一度、水本の方を真っ直ぐ見つめる。 「この、裁判……だっけ?もう、終わりにしない? 帰りの会なんだし、みんなもう、家に帰りたいでしょ? さしたる確証もないのに、誰かをつるし上げたって、何も良いことないと思うけど」 「……でも」 水本がぎゅっと手を握りしめる。 と、その時だった。 「月影くん、すご~い!!!!!」 急に黄色い声が聞こえたかと思えば、一人の女子が立ち上がり、満面の笑みで手をパチパチと叩く。 クラスのアイドル、瀬野 愛、だ。 「月影くん、なんだか探偵みたい!かっこいい!! でも、月影くんの言うとおりだね。私も、今日放課後予定あるから、早く帰りたいかも。 今回の件は、鈴木くんの勘違いだったってことで、これで終わりで良くない?」 瀬野はくるりとした瞳を鈴木に向ける。 クラス一の美少女から微笑みかけられた鈴木は、即座に耳を真っ赤にしながら「あ、あぁ……」と呟く。 「先生」 学級委員の水本は、指示を仰ぐように藤崎先生に目をやる。 教室の後ろで様子を見ていた先生は、ボールペンを胸ポケットに直すと、すっと立ち上がる。 「みんなの意見が一致したようなので、これでいいでしょう。 火村くん、疑いをかけて申し訳なかったわね。それでは委員長」 先生の合図を受けて、水本は前に向き直る。 「では、今回の学級裁判は、これで閉廷します。と同時に、帰りの会も終わります。 ありがとうございました」 水本のかけ声に、皆も「ありがとうございました」と声を揃える。 直後、教室の扉が開き、ランドセルを肩に引っかけたクラスメイトらが廊下に飛び出していった。 皆が下校し始める中、俺は一人で立ち尽くしながら、月影の方を見ていた。 やつは、さっきまで皆の前で話していたのが嘘のように、再び気配を消していた。 黙って、机の中の教科書をランドセルに入れている。 俺は、月影にお礼を言うべきだと思った。 しかし、その前にクラスの数人が奴に声をかける。
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