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プロローグ
よっ!おまえら。初めまして、だな。
俺の名前は火村 大我。好きな科目は給食と体育。趣味は野球とゲームっていう、いわゆるフツーの小学生だ。
ところで、おまえら、「裁判」って知ってるか?
難しい言葉だよな。少なくとも、フツーの子どもはこんな言葉、ほとんど使わねーよな。
辞書によると、裁判ってのは、「なんか悪いことをした奴に、どんな罰をあたえるのか決めること」だそうだ。
え、そんなこと言われてもイマイチ分からないって?
そうだろうな。俺も正直、よくわかんねーもん。
でも……じゃあ、そうだな、「帰りの会」はどうだ?「終わりの会」って呼んでる学校もあるみてーだけど。
俺の学校では、下校前にそういう会をするだんけど、その中で、「今日一日の振り返り」みたいなコーナーがある。
今日一日を振り返った結果、皆に何か言いたいことがあるやつは、手を上げるっていう時間だ。
「今日、火村くんが掃除をさぼってましたー」とか「火村くんが水筒にジュース入れていてましたー」とか。
大概、何か嫌なことがあったやつが、先生にチクるために手を上げることが多い。
俺は一年の頃からの常連で、今まで何回帰りの会で立たされたことか……。
って、まぁ、俺の話はいいや。話を戻すぞ。
俺のクラスでは、その「帰りの会」の時間に「学級裁判」ってのをやることがある。
五年生の三学期から俺らの担任をしてる、藤崎先生が考えた制度なんだけどさ。
まず、誰かが手を上げ、何かの問題を訴える。
すると、普通なら先生が出てきて、その問題の聞き取りをして解決すると思うんだ。
でも「学級裁判」は違う。
生徒一人一人、つまり俺たちが、その問題について話し合い、誰が悪いのかを決めて、解決に持って行く。
それが「学級裁判」なんだ。
この制度が始まった時は、俺は別に、特に何にも思わなかった。
「今までの帰りの会と一緒じゃん」なんて考えていたから。
でも、段々、「学級裁判」って、実はヤベー制度なんじゃないかって、思うようになったんだ。
今からする話は、この制度のヤバさに気付いたきっかけと、それを解決した、とある転校生の話だ。
その転校生、普段全然しゃべんねーのに、実はすげぇ力を隠し持ってたんだよ!!
って、今その話はいいか。そんじゃま、まずは俺、火村大我の話を聞いていってくれ。
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