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同じクラスになった男子ならば、クラス替え早々ひかりも早々にチェックを入れるというものだ。
あれだけの美少年がチェック漏れしていた理由は単純明快、今まで一度も同じクラスになったことがなかったからである。
というより、聞くところによればそもそもあの眼鏡の美少年――春風祈は、四年生の頭に別の学校から転入してきたばかりの生徒だという。また、体が弱いということで学校の授業も休みがち。そのうえ違うクラスともなれば、まあひかりが存在に気付かないのも無理からぬところではあっただろう。
「春風くんなぁ。けっこー、ミステリアス男子ってことで有名だぜ」
クラス替え発表の後、ひかりはマチカとともに五年二組の教室へと移動していた。ちなみに、マチカとは二年生、三年生の時も同じクラスになっている腐れ縁でもある。クラスが違った四年生の時もなんだかんだとツルんでいることが多かったので、あまり離れ離れになったという印象がない。
男の子みたいな短髪、俺っ娘の親友は、男女ともにモテることでも有名なのだった。当然、友達も多く、人間関係に絡む情報にも精通している。
「あの美少年っぷりだろ?転校初日から、そりゃもうわんさか女子が群がったらしい。一部男子も」
「男にもモテるんかい」
「ついでに先生にもモテると噂になってるぜ。で、俺もおもしれー奴だと思ってチェックしてたんだけどさ。体が弱いから学校に来られないことが多いらしくて休みがち。それがまた、神秘的だーなんて言われる原因になっているようだ。なお、学校を休みまくっていてもテストの成績は素晴らしくいい模様。ひかりと違って」
「うっさいわ!」
思わず突っ込みを入れて、ひかりは頭の中にもやもやもやーと浮かんだ幻想を消し去った。いやほんと、存在しなかったことにしたい――百点満点中十点しか取れなかった漢字の小テストのことなど!
ついでに、とうに提出締め切りが過ぎている作文と算数ドリルについても記憶から抹消したいところである。いかに親にバレないようにやり過ごすか、ここのところ真剣に考えているほどなのだから。
「マチカだって、人に言えるほど成績いいわけじゃないじゃん」
思わずぶーぶーと頬を膨らませると、マチカはそりゃそうだけど、と背もたれによりかかった。
「誰かさんと違って、俺は宿題はすっぽかさねーから、その分先生の印象はいーの。おわかり?……いくら中学受験しないからってな、勉強サボりまくってると後でめんどくせーことになるぞ。特に中学生になってから」
「そんな後のことは、後になってから考えればいいんだよ。今私にとって一番大事なのは春風君のことなんだから。くだんないこと言ってないで、春風君に関する情報をさっさとよこしやがれください」
「それが人にもの頼む態度か?」
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