“あてぼり”って怖いね

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“あてぼり”って怖いね

 啓吾から与えられた新しい快楽の激しさで、僕は少し気を失っていた。けれど、それはほんの一瞬だったようだ。  どちゅっと、鈍い衝撃がお腹に響いて目が覚めた。カッと見開いた目に映ったのは、額や首に青筋を浮かべた八千代だった。  伸びた後ろ髪を束ねている。あぁ、本気で攻めてくるやつだ。ぼんやりした頭で、そう確信した。 「大畠は遊び優先なんが(ぬり)ぃわ。なぁ? 喋る余裕ねぇくらい、イイトコ当ててやっから覚悟しろよ」 「ひぇ····」  いつもは執拗い責め方をしない八千代。僕が息を忘れるほどイクと、体位を変えて色んな所に快感をくれる。  そんな八千代が、本気で僕のイイ所を探って、そこを抉り続けるんだ。考えただけで下腹がキュンと疼く。  太くて長くて、ガチガチに硬くなったおちんちんで、結腸口の手前を突き続ける。ガン突きってやつだ。  もう出ないと思っていた潮が、また勢い良く噴き出す。 「んっとにココ好きだな。おい、あんま目ぇこすんな。腫れんだろ」  そう言って、八千代が優しく拭ってくれる。けれど、涙は一向に止まらない。気持ちイイと、勝手に溢れ出すんだもん。 「(なみら)れ··八千代(やちぉ)見えないんらもん····ひぐぅッ····ひゃっ、あっ、あ゙ぁ゙っ!! 待っ··八千代(やちぉ)ぉ! しょこ··なんか変ッ! やぁっ····らめぇ!」  僕の声など聞こえていないかのように、容赦なく突き続ける八千代。少しずつ擦り上げながら徐々に角度を変え、結腸口に近づき遂に奥を貫いた。  その瞬間、とても深い絶頂を迎え、シャワーの様に潮を噴き上げる。その直後、やらしい笑みを浮かべたりっくんが来て、おもむろに僕のおちんちんを握った。  そして、掌で亀頭をぐりぐりと、それはそれは執拗く撫で回すじゃないか。僕は、絶叫しながら潮を撒き散らす。  腰がガクガクと痙攣し、八千代のが奥に入っているものだから、自分で奥をグイグイこねくり回す結果になっている。最早、どこでイッてるのか分からない。  おそらく、快感が叩き込まれている箇所全てでイッているのだろう。深い絶頂と甘イキを、尋常ではない間隔で交互にし続けている。1秒も休ませてはもらえない。  僕は大粒の涙をひた流し、何度も『やめて』と懇願する。汚い嬌声に混じえて、言葉にならないような叫びで訴え続けた。  けれど、恍惚な表情で僕の痙攣を眺めるりっくんに、僕の悲痛な音吐は届いていないようだった。 「ひに゙ゃあ゙あ゙ぁ゙ぁ!!! りっくん(ひっぅ゙ん)··もぉ゙ッ··やめ゙でぇ! ()にゃい! イ゙げにゃい゙ぃに゙ゃあ゙ぁ゙ぁ゙ぁ!!」 「お前··鬼かよ」  あまりの執拗さに、八千代がひやりと言葉を漏らした。こんな中、奥を抉り続けている八千代に、微塵の説得力も感じないが。  2人の執拗な責めに、呼吸の仕方を忘れた僕は酸欠で吐き戻す。流石にマズいと感じた八千代が、りっくんの髪を鷲掴んで制止する。  涎を垂らしそうなほど夢中だったりっくんも、ハッと我に返り手を止めた。『目、ガンギマリじゃん。莉久やべぇ』と啓吾は笑ったが、笑い事じゃないんだよ。  僕は浅い呼吸しかできず、八千代に抱き起こされ水を飲ませてもらう。口移しでゆっくりと、僕が飲み込むのを待ちながら流し入れてくれる。 「ん··はぁ····ふぅー··」 「息、できるか?」 「うん。大丈夫(らいじょーぶ)」 「うっし、続きすんぞ」  八千代が僕を横たえると、怒りを剥き出しにした真尋が声を荒らげる。 「まだヤんのかよ!? 休ませてあげないの?」 「アホか。ここで休んだら満足しねぇんだよ。よく見てろガキが」  言葉足らずな八千代に代わり、啓吾が補足の説明をしてくれる。 「結人はさ、追い込まれるまで求められたら、そんだけ“愛されてる”って実感すんの。苦しいのが好きなのはドMなのもあるけど、手っ取り早く堕ちれるからなんだと思うよ」 「あとねぇ、普段は甘やかしっぱなしの俺らが、ゆいぴに酷い事するのって相当な覚悟が要るわけ。それを押し殺して、ゆいぴにキツい事してお互いに快楽貪って、そういう覚悟··みたいなのが安心するんじゃないかな」 「結にぃを····堕とす覚悟?」 「そ。口先だけじゃなくて、色んなもんすっ飛ばした目に見える覚悟。結人って遠回しな事しても気づかねぇだろ? だからそれがないと、こんだけ愛してんのにすーぐ不安になんの。めちゃくちゃ厄介だろ♡」  啓吾とりっくんの話を聞いて、真尋が項垂れた。酷く落ち込んでいる様だ。  僕自身、今の話を途切れ途切れに聞き、そうだったのかと自分の言動を振り返った。再び八千代の甘い当て掘りをくらいながら、僕は啓吾とりっくんの言葉を咀嚼する。  2人の言う通り、皆の覚悟を見ることで、より深い愛を感じる節はあると思う。けれど、それは単純に皆の性癖や本能的なものであって、同時に僕への躾の一環なのだと思っていた。  無知な僕に、沢山気持ちイイ事を教えてくれているのだとも思っていた。それを受け入れて溺れる事で、僕が皆に縋って服従しているのだと誤想していたのだ。  まさか、僕の弱虫な心を満たす為だったなんて、そんなの全然気づかなかった。もしかして、皆に嫌な事をさせていたのかな。 「まーたお前は余計な事考えてんだろ」  八千代に見透かされ、息も絶え絶えに、至った考えを話す。突く勢いをほんのちょっぴり緩めてくれたとは言え、腰を止めないのが八千代らしいや。 「アホか。俺らがやりたくてやってんだわ。単純に、お前を潰してぇんだよ」 「ひゃうっ····」  耳元でそんな事を言われると、イッてしまうのだから遠慮してほしい。それでなくとも、八千代はいつだって話し方がえっちなのだから。 「お前もな。まーた言葉足らずなんだわ」  啓吾が嘲弄する様に言った。八千代から飛んでった枕が、顔面に直撃する。 「ゎっぷ····いってぇな!」 「テメェが喧嘩売ってきたんだろ」 「売ってねぇよ。でもお前マジでさ、結人相手に言葉足りなさすぎな。もちょっと噛み砕いて説明してやんないと、まーた勘違いすんだろ。いい加減学習しろよなー」  啓吾はおどけて言う。が、八千代は図星と言わんばかりに、苦虫を噛み潰したような顔で『うるせぇ』とだけ返した。  それを聞いていた真尋は、パッと顔を上げて言った。 「俺もさ、もっと結にぃといっぱい一緒に居て、結にぃの事知りたい。俺の気持ち、もっと結にぃにゆっくり伝えていきたい。そんで、本気で心から愛してるって想われたい」  やっぱり諦めないんだ。そう思ったのは僕だけではないだろう。だけど、今までと少し様子が違うのは、焦燥に駆られた雰囲気が削がれたからだろうか。  真尋の言葉を、皆それぞれに飲み込む。  八千代は満足ゆくまで犯しきってから、グデグデになった僕を朔に明け渡す。その時に、八千代が『もういい気もするけどな』と言った真意は分からない。  けど、朔には伝わっているようだ。晴れ晴れとした顔で『そうだな』と返しておきながら、当て掘り大会は滞りなく続行された。  先に真尋の話を聞いてあげたいのだけれど、どうもそうはいかないらしい。  待ちに待った朔が、僕に覆いかぶさって深いキスを交わしてくる。口内を、大きな舌で余す所なく舐め、奥まで犯すんだ。息をするタイミングが分からず、あっぷあっぷして朔の胸を押し返す。  ゆっくりと舌を離すと、唾液が糸を引く。それが切れる前に、再び舌を絡める。どれだけ待ちきれないんだか····。  キスだけで何度もイかされ、とろっとろに蕩けてしまう。おちんちんを挿れる為に離れる朔に、両手を伸ばして“待って”と合図する。  朔は僕を抱き締めながら、動き辛そうに挿入する。ごめんねって思いながらも、離れるのはやっぱり嫌なんだよ。  抱き締められているのと、おちんちんが入ってくるのと、両方の圧迫感が気持ち良い。そして、朔は僕の頭の上で手を組み、早々(はやばや)と奥を抜いた。  耳元で、何度も『愛してる』と囁き、僕の名前を甘く呼び続ける。僕もそれに応え、朔を呼んで求め続けた。 「(しゃく)ぅ····気持ちぃ··好きぃ♡ れももぉ··しょこやらぁ····」 「ツライか?」 「イクの、止まんにゃ··んあぁっ··おっき(しゅ)ぎぅの··お願····待っ──」 「待てねぇ」  耳元で、低声を流し込むように言う。それがとても艶かしくて、僕は心臓を握り潰されながら連続イキをして失神した。
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