2度目の貫通式

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2度目の貫通式

 圧迫感で息苦しくて目が覚める。両脇を見ると、啓吾と朔に挟まれていた。という事は、きっとソファベッドでは、りっくんと八千代が肩を並べて眠っているのだろう。朔が壁になって全く見えないけど。  なんだか身体中パリパリしてる気がする。寝ちゃう前に、りっくんが拭いてくれたはずなんだけどな。皆が起きる前にシャワーくらい浴びておこう。  そう思い、そぉっと2人の腕から抜け出した。  部屋を出れば、中庭から差し込む日差しが眩しい。ふと見ると、リビングの時計が8時半を指していた。寝たのが何時か分からないけど、ぐっすり眠っていた気がする。  寝すぎてしまったのか、頭がスッキリ起きないままガラス張りのお風呂へ向かう。  りっくんがあらかた掻き出してくれていたが、シャワーを浴びているとまた垂れてきた。奥の分かな。反射的に夕べの事を思い出して、お尻がキュンと切なくなる。  僕の我儘で皆を起こしちゃうのは悪いから、いつもシてもらうみたいに自分でナカを綺麗にする。皆が起きたら、また抱いてもらえるのかな。そうだ、八千代のペナルティはもう終わったのかな。そんな事を、ボーッと考えながら。  たぶん、全て掻き出せたと思う。頑張ったなぁ····なんて、少し呆けていた。すると、突然背後から聞こえたゴチンという音に驚き振り返る。  啓吾とりっくんが覗いていた。覗くって言うか、もはやガン見だけどね。で、きっと音の正体は、おでこをぶつけた啓吾だ。ガラスにおデコをくっつけて、凄くいやらしい目つきで見てるんだもん。 (そっか、スイッチを押し忘れてたんだ。外から丸見えって恥ずかしいな。うわぁ··いつから見てたんだろう····)  それより、何故か2人とも全裸だ。人数分のガウンが置いてあったはずなんだけどな。それくらい羽織ってきたらいいのに。  僕は、隠れるようにいそいそと湯船に浸かる。まぁ、当然の様に入ってくるよね。3人くらい余裕で入れる広さだもの。 「なんで起こさねぇの?」  僕の上に跨った啓吾が聞く。怒っていると言うより、これは拗ねているのだろう。 「起きたらゆいぴ居なくてビックリしたんだからね」  啓吾を押し退()けて僕に跨るりっくん。どうして2人とも、僕に乗ろうとするのだろう。 「ご、ごめんね。よく寝てたから、起こしちゃ悪いなぁと思って」  そう言えば、この2人が起きてくるなんて珍しいな。八千代はどうしたのだろう。 「八千代と朔は?」 「朔はまだ寝てる。場野はまた上でトレーニングでもしてんじゃね?」 「ねー。起きたら居なかったよ」  僕に気づかず行ってしまったのだろうか。気づいてたら構わないはずないもんね。それにしても、本当にトレーニング好きなんだなぁ。 「俺らも後で走りに行くけど、結人も一緒に行く?」 「んー····行く!」 「珍しいね。ゆいぴ、いつも運動は全力で避けようとするのに」 「筋トレくらいだったら僕もできそうだもん。それに、逞しくなるの諦めてはないからね」 「「へぇ〜」」  無駄だとでも言いたげな2人。そんな事よりと、りっくんが僕を浴槽の隅に追いやってきた。壁に手をつき、浴槽の縁に膝を乗せ、僕を追い込んでしゃぶれと迫る。  僕は、りっくんのおちんちんにパクッと食いつき、一生懸命ご奉仕する。この、咥えたり手で扱くのを“ご奉仕”と言うのは、何故だか未だに少し照れる。 「結人、俺の足でシて」  足····? 踏んでほしいのかな。 「こうやって、足でちんこ挟んでぇ····はい、シコシコして」  体勢的に凄く難しいんだけど。水中だからおしりが浮いて、思うように動けない。  りっくんは容赦なく僕の口でイこうとしてる。啓吾のことも気持ち良くシてあげたいのだけれど、どうすればいいのだろう。 「ここじゃ難しいか〜。いいや、また今度やってもらお。結人、俺はいいから喉でイかしてもらいな」 「はぇ゙····ぁ゙··ぇ····んぶっ、お゙ッ····」  啓吾に言われた通り、喉でイかせてもらった。おかげで、お湯を張りなおなさくちゃいけないじゃないか。  なのに啓吾は、精液だけ掬って出せば問題ないとか言って、本当にそのまま入ってるんだもん。なんかヤだなぁ。  けど、そう言えばりっくんも、前に湯船の中で沢山噴かせて『潮風呂だね♡』とか気持ち悪い事言ってたっけ。  2人の感覚がおかしいのだとは思うけど、まさか、八千代と朔も平気なのかな。答えが怖いから、聞かないでおこう。    お風呂から出て、朔を起こしてからトレーニングルームへ向かう。  八千代は、既に息が上がるくらい走り込んでいて、むわっと湯気立っているのがカッコイイ。  それぞれ走り出したけど、なんってスピードで走ってるんだよ。啓吾はゆっくり走ると言って時速7キロで、りっくんは軽く流すと言い時速10キロ。八千代と朔は、時速12キロって····。  人間が走れる速さなんだ。自転車に乗っても、僕の方が遅いかもしれない。  リズム良く刻まれるダンッダンッダンッダンッという、力強い足音に聞き惚れる。さっき少しだけ走ったんだけど、ドッタドッタしていた僕とは大違いだ。  僕は、5台並んだルームランナーの前で、ベンチに座り『ほぇ〜』と驚嘆しながら朝食のサンドイッチを頬張る。 「おい、リスみたいになってんぞ。笑かすな」  八千代に怒られた。それも、かなり失礼な理由で。 「笑かひてないもん」 「ぶはっ、やめろ結人。もぐもぐすんのやめてくれ。可愛い」  朔が顔を逸らして笑っている。だから、凄く失礼だぞ。僕は、普通にサンドイッチを食べてるだけなのに。  笑って走れなくなった朔。汗だくで僕を抱き締めに来た。普通なら嫌がるのかもしれないけれど、僕はこれが好きだ。えっちの時も、汗だくで抱き締められると下腹が疼く。きっと、皆の匂い(フェロモン)の所為なのだと思う。 「お疲れ様。邪魔してごめんね」 「いや、大丈夫だ。それより····」  言葉に詰まる朔。どうしたのだろう。僕をジッと見つめ、何か言いたげな顔をしている。 「どうしたの? あ、どこか怪我した? 足捻ったりしてない? 僕が笑わせちゃったから····」 「怪我はしてねぇ。違うんだ。そうじゃなくて、ずっと言いたいことがあってな、さっき、走ってる結人見てて我慢できなくなったんだ」  なんだろう。お腹、揺れてたかな? それとも、体力なさすぎとか? あ、走るのが遅すぎるからかな。もっと鍛えろとか言われるのかな····。  何を言われるのかと凄くドキドキする。今度は僕が、不安げに朔を見つめ言葉を待つ。  朔は、僕の耳朶にそっと触れ、意を決した様子で言葉を放つ。 「なぁ、そろそろピアス····空けてもいいか?」  どうやら、走ると揺れるピアスが目に入り、気持ちが抑えられなくなったらしい。そうか、ずっと待っていてくれたんだもんね。  八千代とりっくんに空けてもらった所は完璧に安定していて、既に2人から貰ったピアスを着けていた。  僕としては、いつやるのかと思っていたのだ。と言うのも、空けてしばらく経った頃、少し膿んでしまったものだから、念には念をとかなり期間を空けていた。大丈夫だと言ったのだけど、本当に心配性なんだから。  朔は、顔に精液をかけていたのが原因だろうと分析して、『穴が安定するまで顔射はなしだ』と言っていた。“がんしゃ”ってなんだろうと思ったけど、とにかく皆気を遣ってくれていたらしい。なんだか申し訳ないや。 「いいよ。僕もね、そろそろ言おうと思ってたの。早く、朔と啓吾のピアスもしたかったんだ」  かくして、唐突に第2回ピアスホール貫通式が執り行われることとなった。  皆、シャワーを浴びてサッパリしたら、軽食を食べて貫通式の準備をする。  朔の膝に乗せられ、キスで気を逸らしてもらう。キンと冷えた耳朶がジンジンしている。  強ばった肩に添えられる手が温かい。それだけで、幾分か心が安らぐ。啓吾がくだらない話をしながら、緊張の緩んだタイミングでカシャンと鳴らした。  やはり、痛みは全く無くて、ほんの少し違和感があるだけだ。満足気な顔で笑って『大丈夫?』と聞く啓吾。その笑顔を見るだけで、心が溶けてしまう。  次は朔の番。そのまま朔の膝の上で、宣言通り見つめ合いながらするらしい。 「まだ怖いか?」 「ん··ちょっと····」  目を瞑る事も、逸らす事も許されていない。際限なく顔が熱くなってゆく。  これから穴を空ける耳朶に触れ、『感覚あるか?』と問う。そんな物はとっくにないはずなのに、朔に触れられている部分は熱を感じる。 「わ、わかんにゃ····朔ぅ、目合わせるの限界だよぉ」  僕が泣き言を漏らすと、優しく微笑んでくれた。目を瞑ってもいいのだろうか。瞬きさえも上手くできないや。と、戸惑った瞬間、カシャンと聞こえた。  どうやら耳朶を触った時、爪を立てて痛覚の確認をしていたらしい。なんだか騙された気分だ。でも、そういう所が凄く好き。  こうして、無事4つの穴が空いた。今回は膿まないように気をつけなくちゃ。  あぁ、啓吾と朔のピアスをつける日が待ち遠しいな。
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