蓮畑と君のこと

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「ていうかさ……咲衣ちゃん」  エリは熱っぽく話をする咲衣に水をさした。 「その子のことめっちゃ好きじゃん」 「ええ? いやいや。そうじゃなくて。好きとかじゃなくて。ただ、どんな人なのかが気になるんです」  それを好きっていうんじゃないの、とエリは眉を下げて笑った。 「まるでつかみどころないんだよなあ。ポーカーフェイスの奥でなに考えてんのかさっぱりわからないんです」 「感情が表に出ないのは、心の中に複雑なものを持ってるからじゃないの?」 「それはなんとなく察してますけど」 「仲良くなりたかったら慎重に行動したほうが賢明な気がするんだけどなあ」    エリは最後にやんわりとアドバイスした。  通話を切って椅子の背もたれに寄りかかった。はあ、と全身でため息をつく。そうかと思えば机にうつぶせになった。 「これは偶然かそれとも運命なんだろうか。ねえ、神様おしえて」  ひとりごとをつぶやいたかと思えば、次は片方のほっぺたを机にくっつけてぼんやり考え込む。 「小田野蓮よ。私は、君と」
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