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「これが宇宙!?」
宇宙船は一人用なので狭いが十分無重力で水もぷかぷか浮いている。
本来ならばそれ相応の訓練を受けなければならないがモフレさんのお陰でどうにかなっているらしい。『雪餅が宇宙に行く』という事象は「おもしれー」判定に入っているようだ。
さてここからが問題だ。
事前に内容を言ってしまえば飽きられるかもしれないからわざわざ宇宙に来てから言いたかったのだ。
「あれが餃子隕石。本当に落ちてきてるんだ」
確かに餃子、それも焼いてない生の餃子が地球に向かって来ている。シュールすぎる。
さて
「モフレさん、雪餅の思考を共有したり出来る?」
結構無茶なお願いだが出来るらしい。
おでこに耳を接続すると雪餅の思考が伝わるようだ。
普段のサムネイル力を見せる時だ。地球に降りかかる餃子隕石、雪餅なら……どうする? リスナーならなんて言う?
そうだ! 雪餅を増やそう!
たくさんの餃子が来るなら雪餅で対抗しよう。
雪餅をたくさん降らせて餃子と衝突。YouTubeの宣伝にもなるし一石二鳥!!
《おもしれー女》
聞いたことない、でも聞きなじみのある声がした。これは……モフレさん!?
その瞬間、餃子の反対遙か彼方から降ってくる雪餅。なにあれ。
次々と地球にぶつかる餃子は大気圏に突入し、その摩擦で熱を帯び、こんがりきつね色を帯びる。不覚にもおいしそうだと思ってしまった。
そこに横から衝突する雪餅。なにこれ。
あ、そうだ
「雪餅に餃子食べさせようよ。せっかく焼けたんだし」
モフレさんは大満足に飛び行く雪餅を操作する。
餃子に触れると雪餅本人の舌にも感触があった。え、これ感覚リンクしてるの!? そして意外とおいしい。
どうやら悪魔も言われたことはしっかりやるらしい。
「おいしいね、モフレさん!」
モフレさん自身も餃子の味が伝わったのだろう、喜んでいる。
降ってきた餃子はちょうど一人前。たぶん少年が願った数なのだろう。
餃子はすべてなくなり雪餅隕石もいない。
宇宙船の中では、いっぱいになったお腹を擦りながら満足が顔をしている雪餅とモフレさんがぷかぷか浮いていた。
ありがとう、モフレさん。
モフレさんこそおもしれー天使だよ。
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