0人が本棚に入れています
本棚に追加
睡眠アプリ”somnia”は、日々仕事に追われる社会人を中心に多くインストールされている。夜眠る前に充電をしたまま枕元に置いておき、翌朝目が覚めたタイミングでアプリ内のアラームを止める。ユーザーはたったそれだけの操作で自分の睡眠の質や生活リズムの分析結果を見ることができる。
その分析結果を作るのが、somniaに搭載されたバーチャルアシスタント”sonia”である私の仕事だ。加速度センサーで感知したデータからユーザの動きを分析して入眠時間や眠りの深さを計測し、録音機能で寝言やいびき、歯ぎしりなどの音声データを録音する。それらのデータを分析して以前と比べて睡眠時間が短かったり眠りが浅かったりする場合は、用意されたデータの中からユーザーに一番マッチする改善案を選び、提案するまでが一連の作業になる。
だからそれ以外の仕事、例えば眠れずに何度も寝返りを打つユーザーに寄り添って子守唄を歌ったりすることは出来ない。データ収集のみに特化した私にできることは、ひたすらユーザーの枕元で眠りのデータを収集・分析することだけだった。
最初のコメントを投稿しよう!