祈りの理由

　そのユーザーはいつも通り22時半にアプリを起動していつもと同じ祈りを口にした。けれどそれから一時間経っても寝返りを繰り返すばかりで眠りにつく様子がない。その数分後にやっと眠ったと思えば、うなされたような声をあげて寝返りを打つ。その数秒後にアプリの画面がアクティブになり、ユーザーが端末を操作したことがわかった。
　ユーザーは端末を再び伏せると、もう一度寝返りを打った。それから一時間経ってもユーザーが眠りにつく様子はない。寝返りを何度も繰り返す中で、すすり泣きのような苦しげな声が僅かに空気を震わせる。

　このユーザーがこんなに寝苦しそうにしているのは初めてだった。何か嫌なことや心配事があったのだろうか。昨日と今日の睡眠記録を比較すると、その落差は一目瞭然だった。
　ここまで差が開くと、朝起きた時に改善案を提示する必要がある。私は類似した事例を参照すると、その内容をメッセージウィンドウに書き起こした。