0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
殺人現場にダイイングメッセージが残されていた。血みどろの文字でAIと書かれている。
私はふむ、と顎を撫で見解を述べた。
「犯人はAIということだね」
「見ればわかります」
助手の山田くんが真顔でツッコミを入れてくる。
「問題なのはこの場にAIが十二人いることだが……」
「十三人です」
容疑者十三人ときた。ちょいと多すぎる。
しかし私は名探偵。入念な事情聴取、崩れるアリバイ、敵ながらあっぱれなトリックを見破る。
ということはせず、広間に集めるは容疑者二十一名。そう、推理の時間である。
「つまり犯人は君だ、AIロボット、野ノ山ノノ子くん!」
決め手はノの多さだ。
ノノ子くんは「私はやってない!」とオイルを垂れ流しながら警察に連れて行かれた。
犯人は決まってそう言うものだ。フィクションのように項垂れ涙を流し被害者への恨みつらみを吐き出す者などまずいない。例えAIであろうとそれは同じである。
「さて、では行こうかワトソンくん」
「私はワトソンじゃありません」
「行こうかアイちゃん」
「馴れ馴れしく呼ばないでください」
翌日我が家に警察が来た。
最初のコメントを投稿しよう!