カフェタイム

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「そんな風に考えていてくれたんだね。どうやら僕は、君がドライな人だと勘違いしていたみたいだ」  勇者、善人過ぎないか? いや、だからこそ適正ジョブが勇者なのだろうけれど。 「ドライかどうかは、自分じゃ分からないな。ただ、何ヶ月も旅をしてきて、パーティーメンバーに何も情が沸かない様な人間でもないよ」  冷えた飲料を一口飲む。この世界にも、冷えた飲み物はちゃんとある。ただ、冷やす方法が魔法道具によるところが、ゲーム世界であることを実感させる。カップに注ぐだけで、直ぐにその飲み物は冷える。「高等な魔法使いによる術」が組み込まれたカップでのみそれは出来るので、王都の様な大きな街の店でないと見掛けないのが難点でもある。 「ところで、聞き込みをしてから向かう先を決めることには賛成だ。どの道、使い慣れた剣が手入れ中じゃあ、王都から離れる訳にもいかないしな」  一口程を残して、フォークでケーキを切り、口に運ぶ。ケーキは、外側と内側で幾らか味わいが変化した。外側は、見た目が重視され、内側は味が重視されているケーキなのかも知れない。 「分かった。じゃあ、この休憩が終わったら早速聞き込みをしよう。あまり遅くなってからじゃ、人に話を聞くには向かないから」  勇者は、和やかな笑顔を浮かべた。良くも悪くも、勇者は不機嫌になることが無い。たとえ雑な扱いを受けたとしても、不機嫌になることはない。それが、これからの旅で吉と出るか凶と出るか……それはまだ分からない。だからこそ、こちらが代わりに何かをしなければならないなら、汚れ仕事もやってやろう。
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