AIプロデュース

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 2  AIの導入後、十日ほどで社員たちはその管理力をあてにするようになった。一カ月後には所属タレントの残り三分の二のスケジュールも担当することになる。  翌月には給与計算もAIにまかされるようになり、さらに所属タレントのカウンセリングをマネージャーと共有するまでになった。茜がAIと接触したのもこのときである。  カウンセリングに宛がわれたのは社内の小会議室だった。同席したのは茜を担当してくれている村越(むらこし)マネージャー。見た目は髪の薄くなりはじめたオジサンだが、この道三十年のベテランだ。 『柳原茜さんですね、よろしくお願いします』  茜が目の当たりにしたのは、ノートパソコンの画面に映し出された女性の顔だった。ウェーブのかかった栗色の髪、透きとおるような白い肌。日本人離れした容姿なのになぜか既視感を覚えた。 「えっ……と、あなたは?」  緊張で茜の声が上ずった。
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