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「明日の舞踏会楽しみですね、ドレスの準備もできました!」
リュシーが話しかけると、アクセルはなぜか難しい顔をした。
「どうしたのですか?中止になったのですか?」
「いや、舞踏会は開催される」
そう言ってアクセルは言葉を切った、ほんの少し悩んでから続けた。
「君はそこで結婚相手を探して欲しい」
「……えっ?」
予想もしなかった言葉がアクセルから飛び出して、リュシーは困惑する。
冗談を言っているような雰囲気はもちろんない。
「何を仰っているのですか?私はアクセル様と結婚しているのですが……」
「まだ私たちは結婚していない」
「結婚式はまだですが……」
「アピスとフローラの誓約を交わしただけで、教会に届けも出していないし誓ってもいない。君の名はまだリュシー・クレモンだ」
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