お祖父ちゃん

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 お祖父ちゃん。お祖父ちゃんが時々煮てたお茶、あれは臭かったよ。あれは、魔法使いの(やかた)の臭いだよ。  あれ⁉︎お祖父ちゃんが、お出掛けの時はいつもシャッポ被ってたのは、魔法使いだから?  お部屋の隅にあった箒は、ホントは乗り物だったの? お祖母ちゃんは、お掃除に使ってたけど、そうい言えばお祖父ちゃんが、お掃除してるの、見たこと無いなぁ。  まあるい重りを乗っけるお皿のシーソーの玩具(おもちゃ)これは、子供だけで触っちゃダメなんだよね。  ホントは、玩具じゃなくて魔法のお茶を作るのに使う道具だったのかな。  お祖父ちゃんは、魔法使いのお茶を飲んだ後、必ずお口直しってお名前のお薬を、お口に入れるんだよね。ビー玉みたいな大きさで、凸凹してて、黒いの。  じっと見てると、 「はい」 って、お口に入れてくれたよね。  どっこも悪くないのにって言ったら、お祖父ちゃんが、大丈夫って言って笑ってたよね。  お祖父ちゃん。お祖父ちゃんが居なくなって、お部屋のお片付けしてたら、お菓子の缶が出てきたんだよ。お祖母ちゃんが、 「お祖父ちゃんが、好きだったねぇ」 「いっぺんに、食べたらダメだよ」 って、くれたんだ。  蓋を開けたら、大きな黒糖の塊が一個と、ビー玉みたいな小さいのが、コロコロ幾つかと、入ってたよ。  お祖母ちゃんと一緒に、一個ずつお口に入れたよ。とっても甘いのに、二人で涙が出ちゃったよ。  
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