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(このブス顔を治さなきゃ……)
汚いそばかす、横に広がる平らな鼻、縦に長い歪な顔……これらのせいで、幼少期に散々貶されたのだ。その結果、恋愛とは無縁であった。そんな自分に舞い降りてきた、最初で最後のチャンスが、拓なのだ。
アプリを閉じると、掲示板に帰ってきた。相変わらずの無駄に目立つ広告が目に入る。
「変身のクスリ……」
今朝も見た広告だ。その時は、よくある詐欺広告だと相手にしなかった。しかし今は「見た目のコンプレックスが治る」という文言に、無性に惹かれてしまった。
蓮子は広告を押した。均整のとれた顔立ちの女性達が、晴れやかな笑顔を浮かべている。
初回限定で五百円という文言が、赤い文字で大きく書かれている。
(五百円だったら、効果が無かったとしても、ご飯一回分と思えば……)
何かに背中を押された蓮子は、購入の手続きを進めていた。
『ありがとうございました! 商品の到着をお待ちください!』
手続きが終わると同時に、店内放送が蓮子を呼んだ。
――無人の部屋に帰宅した蓮子は、椅子に座った直後、スマートフォンを確認する。
「拓さん」
急いでメッセージを確認する。
『明後日の火曜日、会えませんか? 休みがとれたんです』
蓮子は、自身の頬が高揚するのを感じた。拓はカレンダー通りに勤めているが、自分はシフト制勤務である。まして、スーパーマーケットは休日が売り上げの山である。故に、拓と同じ日に休みをとるのは困難である。
拓が自分のために休みをとってくれた。すぐにでも返事をしたいところだが、常にスマートフォンを監視している女と思われたくもない。
蓮子が承諾の返事をしたのは、シャワーを終えてからだった。
——翌朝、いつも通りに出勤の準備をしていると、呼び鈴がなった。
今は九時すぎである。今日は十一時からの出勤なので、時間はまだ大丈夫だ。
(誰?)
それでも、突然の呼び鈴には首をかしげざるをえない。
モニターを確認してみると、どうやら宅配業者のようだ。
扉を開けた蓮子は、ダンボールを受け取る。
「亀尾蓮子さんですね。御荷物をお届けにまいりました」
「ありがとうございます」
受取証にサインをして扉を閉める。部屋に戻った蓮子は、早速中身を確認してみた。
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