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「AmatoもAI恋人をしてるんですか?」
「レンタル限定ですが。Love.lab社からAI恋人の仕事をいただいて実際のデートを学習し、シナリオ制作に役立てているのです」
「実際のデートを学習している?」
「もちろん利用者様には、個人情報が特定出来る情報を伏せた上でデータを利用させていただく許可を取っています。協力料としてレンタル代が割引になるので喜ばれていますね」
「とても独特な学習法ですね。他のAIと一線を画せるのも納得」
「体験してみますか?」
「是非お願いします。記事にするからには徹底的に調べたいので」
蕾花の言葉を聞き、Amatoが頷く。
「では私のカスタマイズといきましょう。あなたについて知るためにスマートフォンをご提示ください。画像データや閲覧履歴から、あなた好みのビジュアルを提案します」
「そういえばそういうやり方もあるんでしたね。記事を書くための履歴もあるので、変なのにならないといいんですけど」
「ご心配なく。短期間で集中的に閲覧されたデータは弾いていきますから」
スマートフォンを手に載せるとアマトの胸で青い光が八の字を描き始め、スマートフォンにも同じ意匠が表示される。青い光の輝きが増し、データの読み込みが完了すると、Amatoの顔に変化が現れた。肌は褐色に、瞳は鳶色に、黒人寄りの顔つきに変わった。晴人が持ってきたワゴンからドレッドヘアーのウィッグを取って乗せる。蕾花は完成した顔を見て頬を緩めた。
「あ、はい、凄く好みです。よくそこまでわかりましたね」
「定期的に黒人のタレントのサイトを閲覧していたみたいだからな」
「あ、性格は距離感近めなんだ。私も言葉崩そうかな」
「ビジュアルはこれで決定にするか? 今なら別のパターンも見せられるが」
「このままで大丈夫。でも髪型は、隣のウィッグの方がいいかな」
Amatoは歯を見せてウィンクし、ウィッグを短く刈り上げたものに変えた。
「それじゃあ出掛けようか。呼び方はライカでいい?」
「うん。あなたのことはなんて呼べば?」
「好きに名前をつけていいよ。特になければアマトで」
「わかりやすい。じゃあ、そうする」
アマトは蕾花の肩に手を回し、そのまま工場を出ていった。
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