モラハライケメン執事は社長令嬢のお気に入り

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そして愛里はミグミグカンパニーの研究所へ連れていかれ、記憶と思考アルゴリズムが複製・解析された。 後日、ミグミグカンパニーから報告書と、段ボール箱に詰められた荷物が届いた。報告書にはこう書かれていた。 『原因が判明いたしました。愛里様は動物好きでいらっしゃいますが、動物アレルギーによるジレンマが潜在的な孤独感を芽生えさせ、知らぬ間に心を蝕んでいたようです』 にわかには信じられない解析結果だったが、ミグミグカンパニーは確信があったのか、その解決策も準備していた。 『つきましては、我が社が開発した動物型アンドロイドをご試用ください。きっと愛里様の心の癒しになると思います』 箱を開けると動物型アンドロイドが梱包されていた。それも二体。茶色と桃色のレッサーパンダ型のアンドロイドだ。 こんなもので治るのかと半信半疑だったが、それを愛里に与えると、愛里はみるみる元気を取り戻し食欲も回復した。驚くほどの効能効果だったので、父は手放しで喜びミグミグカンパニーに感謝の意を伝えた。 しかもアンドロイドと楽しそうに戯れる愛里の様子を見、父の脳裏にはとある閃きが舞い降りた。 そうだ、動物のアンドロイドなら『矢野1号』のような悪態をつくこともないだろうし、動物の世話という面倒な作業も不要だ。しかもこのアンドロイドの可愛さは動物そのものだ! よし、このまま愛里に試させよう! 実用的なら製品化も考慮しよう! 愛里の父もまた、無類の動物好きだったのだ。
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