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 チャンやウエイトレス型アンドロイドの事件から数日後の夜、サヤカは仕事を終え帰路についていた。  いつにも増して疲れを感じる。  アンドロイドによる事件はその後起こっていない。だが、この街でも、そして世界のどの都市でも、悪意を持つ者が他者に危害を加えるような出来事は毎日のようにあるだろう。  そんな場面に遭遇したアンドロイドがいたら。そしてそのアンドロイドが、コータローが言っていたようなウイルスに感染していたら……。  あれ以来、脳裏の底にこびりつくように、その不安は残っていた。  家まで後数分ほどの距離となった路地。普通なら人気はないのだが、ふと見ると数名が屯していた。サヤカが進んでいくと、全員こちらに向き直る。剣呑な雰囲気が一気に充満した。  まずい……!  サヤカは咄嗟にきびすを返す。  だが数歩進んだところで別の男が数名立ちふさがった。  「待ちなよ、刑事さん。いや、サヤカ、ちゃん」  1人が険悪そうな笑みを浮かべながら言った。  危険を感じたサヤカは、彼らの合間を縫って走り出した。だが男達はすぐに追いつき、襲いかかってくる。  右から掴みかかってきた男の手を躱し、その膝に蹴りを叩き込む。  左から殴りかかってきた奴の腕をとって捻り、勢いに合わせて投げ飛ばす。  格闘術は他の刑事以上に身につけているが、多勢に無勢だった。前の男に気をとられているうちに、別の敵に背後から羽交い締めにされてしまう。  「さて、楽しもうぜ。裸にひん剥いて、イヤと言うほどもてあそんでやる。俺の組織をつぶした報いだ」  そう言った男が、サヤカの腹部に拳を叩きつける。  あうっ!  激しい痛みで気が遠くなるサヤカ。  ううぅ……。   悔しさと恐れで涙が出そうになった。
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