2/3
前へ
/13ページ
次へ
 その時……。  何かが目にもとまらぬ早さで男達の間を駆け巡った。  うがっ!  ぎゃあっ!  様々な叫び声をあげ、男達が倒れていく。  最後にサヤカを抑えている2人が残った。どちらも、何が起こったのかわからず戸惑っている。  サヤカもそうだった。だが、刑事の習性で状況を瞬時に見極める。  倒れた男達はみな頭部や心臓部が損傷し、絶命していた。  そんなバカな……。  この一瞬でこれほどのことをやってのけるなど、人間業ではない。  「う、うわぁっ!」  2人の男が叫んで逃げ出した。すぐに黒い影がそれを追い、片方の腕を掴んで振り回す。もう片方の男にぶつかり、2人揃って弾き飛ばされる。    倒れた男達に素早く近寄った影は、その頭部を殴りつけた。  ぐしゃっ! と頭蓋骨が破壊される音がした。  突然の激しい出来事に声も出せないサヤカ。  影はゆっくりと歩み寄ってくる。  「大丈夫ですか?」  その声は……。  「コータローさん?」  そう、あのどこか懐かしい笑顔が見えた。  「すみません。驚かせてしまいましたね。実は僕もアンドロイドなんです」  「そんな……」  「でも、特別なんですけどね。元は人間でした。ある爆発に巻き込まれ、全身に大けがを負って半身不随になりました。なので、脳を機械の体に移植したんです。脳の一部も欠損していたので、そこをAIで補っています」  あまりのことに、サヤカは震えだした。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加