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その時……。
何かが目にもとまらぬ早さで男達の間を駆け巡った。
うがっ!
ぎゃあっ!
様々な叫び声をあげ、男達が倒れていく。
最後にサヤカを抑えている2人が残った。どちらも、何が起こったのかわからず戸惑っている。
サヤカもそうだった。だが、刑事の習性で状況を瞬時に見極める。
倒れた男達はみな頭部や心臓部が損傷し、絶命していた。
そんなバカな……。
この一瞬でこれほどのことをやってのけるなど、人間業ではない。
「う、うわぁっ!」
2人の男が叫んで逃げ出した。すぐに黒い影がそれを追い、片方の腕を掴んで振り回す。もう片方の男にぶつかり、2人揃って弾き飛ばされる。
倒れた男達に素早く近寄った影は、その頭部を殴りつけた。
ぐしゃっ! と頭蓋骨が破壊される音がした。
突然の激しい出来事に声も出せないサヤカ。
影はゆっくりと歩み寄ってくる。
「大丈夫ですか?」
その声は……。
「コータローさん?」
そう、あのどこか懐かしい笑顔が見えた。
「すみません。驚かせてしまいましたね。実は僕もアンドロイドなんです」
「そんな……」
「でも、特別なんですけどね。元は人間でした。ある爆発に巻き込まれ、全身に大けがを負って半身不随になりました。なので、脳を機械の体に移植したんです。脳の一部も欠損していたので、そこをAIで補っています」
あまりのことに、サヤカは震えだした。
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