転生

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転生

 病院のベッドで目を覚ました俺は、両親が医者という親ガチャSSRの男子高校生、高嶺裕太として生まれ変わった。イケメンで運動神経抜群、知能も相当高い。  両親や友人はみんな優しく、記憶喪失(だとみんな思っていた)の俺にとても親切にしてくれた。家は3階建、広い庭、お小遣いは月5万、学校は車で送迎。マジか、こんなに世界違うのか。  俺は前世で我慢していた物を全部買って、学校が終わると部屋にこもってそれらを堪能した。高性能PC、ゲーム、漫画、本、ギター、推しのグッズコンプ、アイテム課金……!  両親は俺の記憶が戻る助けになればと、欲しいと言った物を全て買ってくれた。  そんなある日、学校で。 「高嶺、ちょっと来なさい」  先生の呼び出しだ。俺は一刻も早く帰ってゼルナの伝説をやらなきゃいけないってのに……! 「この成績だと、ちょっと志望校は厳しいかもしれんな」 「えっ? そんな悪い点数とってないですよね」 「お前、本気で言ってるのか?」  高嶺裕太のスペックは高かった。思考力、記憶力が良い。前世の高校時代、全く手もつけられなかった問題が、まるで小学生の算数程度の難易度に感じた。少し勉強しただけで、前世の3倍くらいの点数を軽くとれる。  だが、高嶺裕太は進学校に通っていて、両親のように医者を目指していた。 「これでは医学部どころか、有名どころの大学は全部厳しいぞ」 「え?」  俺は落ちこぼれた。高嶺裕太のスペックと、今まで詰め込んでくれていた知識の貯金があって、教え方の上手い家庭教師までついていて、落ちこぼれた。  決して、全く勉強してなかったわけじゃない。むしろこのスペックのおかげで授業が分かるようになって、学ぶ楽しさを知った。だから前世の時よりむしろ勉強している。それなのに、なんで?
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