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けど、何かが僕を動かしたというのか? それとも、この子が可愛すぎとでもいうのか? 僕は、自分が思うより先に、声を出し、その子に気づけば名乗っていた。
「………木村善継。」
――え? 何言ってんの僕!?
心の中で叫んでいると、現実では彼女も自分の名を続けて名乗っていた。
「私は、須道永美。よろしく、善継」
いきなり名前呼び? 疑問が疑問を呼ぶ中、僕の頭はパンク寸前だった。
そんな中、彼女はそれを言い残すとまた、トコトコと歩きだし、昨日を思い出すように、僕をすんなりと横切り、行ってしまおうとしていた。
また、僕はそんな行ってしまう彼女を見て、寸前で叫び、彼女の動きを止める。
「待って!!」
僕が突然叫ぶと、彼女はピタリと足を止め、僕の方を瞬時に振り返った。
そして、首を傾げ、疑問に言ってくる。
「どうしたの?」
彼女の言葉に、僕はすぐに口を開き、答える。
「…いや、変だと思うけど……僕たち、どっかで会ったことある?」
絶対にありえないことを口走ると、僕は自分が言ったことに今さら恥ずかしく感じた。多分、僕はもうどうかしてしまったんだろう。
だけど、もう遅い。彼女は僕が恥ずかしく思うが瞬間に、一瞬笑みを浮かべ、僕の方へと再び戻ってくる。
一歩、二歩、三歩と、大きく足を踏み入れ、どんどんと僕と距離を縮めていく。
ついには、僕と彼女の顔がすれすれのところまで。
それに、彼女は一切表情を変えず、ニヤニヤと僕の顔を見つめてくる。
肝心の僕はもうとんでもなく緊張していた。今まで女の子となんて全然喋ったことなかったし、そもそも女性体制というものがなかったのだ。
彼女は目を僕と目を合わせよとしてくるが、僕は彼女の顔もまともに見れず、目を閉じていた。
すると、僕の耳には微かに聞こえてくる。彼女は、僕の耳先に優しく一言こう呟いたのだ。
「――変態。」
「………え?」
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