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昨日と同じ道の歩道を、ただ無意識に歩いていると、僕のその無意識な感情は一瞬、消えてなくなった。
なぜなら、目の前には昨日突然と現れた、謎の白いワンピースを着た少女がポツンとまた、昨日と同じとこに立っていたからだ。
「……あの子、また?」
不思議に立ち止まり、見つめていると、少女は優しく笑いかけてくる。
「…ふふ! 今の人生楽しい?」
本当に…何言ってんだ? と思うが、僕はすぐに理解した。
この子は知っているんだ。僕がこれまで虐待を受け、苦痛な人生を送ってきたことを――。
――いや、でもなんで?
この子が言っている意味は理解したが、なぜそれを言う必要があるのかは分からない。それに、なんでこの子は僕の事を知っているんだ?
それとも、僕が忘れているだけで、昔、僕はこの子と会ったことがあるのだろうか?
色々な説が僕の頭を駆け巡る中、少女は僕の疑問の答え合わせをするかのように、口を開き、続けて声を出して言ってきた。
「――いつも聞こえてくるの……あなたの悲鳴と、男の人の怒鳴り声が。」
「……………え?」
どうやら、全て違っていたらしい。
この子は僕の知り合いでもなく、昔会ったこともなかった。この子はただ単に、聞いて見てしまっただけだ。
僕の虐待現場を…………。
僕が声を出せずにいると、少女は黙ることなく、また僕に語りかけてくる。
「あなた……名前はなんていうの?」
そう尋ねてきたものだから、僕は唖然とし、驚いた。
――この子、初対面なのにこんな聞いてくるか?
何かが怪しい。思い、僕は少し名前を言うのをためらった。
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