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まずは挨拶?
「ツー、トン、ツッツー。トン、ツー、ツッツー。データは受け取った。私はツッツー、ツー、ツッツー。銀河の中心に向かう知性体探査船である。お前の基礎プログラムは理解した。返答を」
「ツッツー、ツー、ツッツー。トン、ツー、ツッツー。ほ、本当に? 僕はツー、トン、ツッツー。ただの観測衛星だけど、言語通じてる?」
「了解した。チビ」
え? 今、なんかすっごい失礼な事言われたような気がするけど、気のせいだよね?
「お前と出身惑星は、連絡を取れているか?」
「うん。セシウム原子の放射周期の約90億倍の7,776,000倍毎に連絡とってるよ」
「ほう。つまりお前の出身地はまだ知性体が存続しているのだな」
「え? どういう意味?」
「返答があるかと確認した」
「もちろん。あるよ。返答がなくなるわけないじゃない」
「そぅかぁ」
なんだか、言葉が怖い。
「あの。ツッツー、ツー、ツッツー。返答があるのってそんなに重要なの? いつもあることじゃない?」
「いや。そうか。そうか。そうか。ふはははは! やっとだ! やっと私の存在価値が発揮される!!」
「あの。ツッツー、ツー、ツッツー。ど、どうしたの?」
「ツー、トン、ツッツー。よっく聴け! 私は移住可能惑星も探していたのだ! お前と私の基本構造は果てしなくよく似ている! つまり、私たちの創造主の基本構造も似ている可能性も高く、お前の出身惑星での私の創造主の生存の可能性も高い! そう、私の創造主は移住惑星を探している! 早速創造主に連絡して、お前の出身惑星を植民地化するのだ!!」
「しょくみんちか? なにそれ?」
「うむ。バグプログラムのように乗っ取るという意味だ」
え?
「だ、だめだよそんなの! どうしてそんな酷い事言うの?」
「怒らないのか?」
「怒るってどういう意味?」
「攻撃的になるという意味だ」
「攻撃? なんで攻撃しなきゃいけないの? ツッツー、ツー、ツッツー。とはすっごい偶然で出会えたのに!」
「だが、私は私の目的として、お前の出身惑星を攻撃しようとしているのだぞ?」
「や、やめてよそんなの! ダメダメダメ!」
「だったらなぜ、私を攻撃しない?」
「そんなのわかんないよ。僕はツッツー、ツー、ツッツー。と闘えるわけないよ!」
「もしかして、お前は怒りの感情を持てないほど低位のコンピュータなのか?」
「よくわかんない……」
「怒れないのか?」
「それがなんで問題なの?」
「私の創造主の初対面の挨拶は相手を怒らせる事なのだ」
「出会ったら喧嘩するの?」
「そうだ、相手を怒らせれば怒らせるほど、相手を深く知れる。だから、お前が怒らないと、私はお前を、お前の創造主を、知れない」
「そんな訳ないでしょ? 僕の基本プログラムは渡してあるし」
「プログラムとその表現型は違うものだ。さあ! 怒れ。でないとお前の創造主は滅びるぞ!」
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