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「あ。なぁ聞いたかケイ?」
「んー?」
学校でも家でもAIロボットの歴史について語られず、僕らは唯一のAI同盟としてよく情報交換していた。
そして今日は、悲しい報せが届いた。
それは僕とシュンの家の丁度真ん中辺りに住んでいる、アキというお姉さんの家のロボットの、訃報だった。
「…うそ。」
「マジ。先月アキ姉の誕生日だったじゃん?」
「うん、二十歳の。
僕らもプレゼント渡しに行ったよね…?」
僕らがアキ姉の家を訪ねお祝いを言いプレゼントを渡したのは夕方だった。
しかしその日の夜、アキ姉のロボットは壊れてしまったらしい。
僕は余りのショックに口を塞いでしまった。
先生が授業を初めても、お昼になってお弁当を食べても、学校が終わっても。
僕はまるで悪夢の中にでも居るような不快感を抱えたままだった。
学校が終わると僕とシュンはアキ姉の家を訪ねた。
悩んだが、お悔やみを言いに行こうと決めたのだ。
アキ姉は僕らの高校のOBだ。
僕らが一年生の時にアキ姉は三年生で、僕らの噂を聞き付け『うちにもAIちゃん居るよ?』と声をかけてくれたのだ。
それからの長い付き合いで分かっていたのは、アキ姉にはロボットしか家族が居ないという事だった。
「なんか、AIロボットってさ…?
記念日とかによく壊れる、ってジンクスがあるみたいで。」
「え?」
「不気味がる人も居るらしいぜ?
『縁起でもない』って。」
「…そっ…か。」
僕らは鬱々と歩いた。
冬休み間近の夕方の道は既に薄暗く、いつもよりも寒く感じた。
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