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5
やがて冬休みに入り、僕は新生活の準備に追われた。僕は高校を卒業したら自立しようと考えていたからだ。
「ケイ?、トイレットペーパーも送る箱に詰めといたからな?」
「え、なんで?、あっちで買えばよくない?」
「マダマダデスネケイ君!
当日ハ忙シクテ買イ忘レシヤスイモノデス!
流石ハ父様デス!」
「ふふ!、そういうことだ。」
「ふーん?」
少し気が早いかとも思うけど、後でバタバタするくらいなら…と、父さんも協力してくれた。
勿論、家政婦ロボットも。
二人はいつも笑顔で、僕の門出を祝してくれた。
彼女は毎日毎日、飽きもせずに言った。
大声で、笑顔で、『大好き』と。
時は流れ卒業式当日。
父さんは家政婦ロボットを連れて参列してくれた。
かなり目立っていたが、僕は嬉しかった。
本当に二人には感謝しかないから。
数日後には家を出るということもあり、立派に胸を張って卒業証書を受け取ろうと気が引き締まった。
それはシュンも同じだった。
母親と例のトレーナーロボットが参列している姿に、二人でクスクスと笑った。
『盛大な拍手で送りましょう。』
そして迎えた閉式の言葉で、僕らは拍手の中順繰りに体育館を後にした。
一度クラスに戻り皆で写真を撮ったりして互いの門出を祝うと、僕とシュンは互いに少々はにかみつつ、二人で校門へ向かった。
「さーてと!、アホが大声で走ってくる前に逃げるか!
あいつ、マジで胴上げとかしてきそうだし。」
「アハハ!」
僕にもそれは難なく想像できた。
嬉しくないわけではないけれど、皆の前で『オメデトウ!!』と歯を光らせながら胴上げされるのは流石にキツイだろうと。
僕も『オメデトウ大好き!!』とハグをされるのが明白で、やはりそれは恥ずかしいので避けたかった。
だが家族は校門で待っていた。
予想に反してとても大人しく、駆け寄っても来ず大声で名前を呼ばれもせず、僕らは微量な違和感を感じつつも家族と合流した。
「オメデトウ、ケイ君。」
「ありがとっ?」
「オメデトウ、シュン。」
「いきなり呼び捨てかよこいつ!」
驚く程大人っぽく迎えてくれて、なんだかムズ痒くて二人して逆に声を張ってしまった。
だが僕らは同時に気が付いた。
互いの親が、ボロボロとあり得ないほどに泣いていたという事に。
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