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ピピピピピピ…! 「起キテ下サイ!! 学校ニ行ク時間デス!!」  寝起きの頭と心臓に響く、目覚ましの音と声。 我が家の家政婦ロボットの音量機能は少々イカレてる気がする。 「起きてる… よ…  …  」 「ビービービー!! 二度寝ヲ感知シマシタ!!」 「わか…分かったから音量下げて本当に!?」  僕は嫌々ながらも体を起こした。 学校に行きたくないのではなく、純粋に眠いのだ。 それにもうすぐ年の瀬の寒さはどうしても布団恋しさに拍車をかける。 今でさえこんなにも起きるのが辛いのに、父さんは僕よりも早く起きて仕事に行って…。 …ハァ。僕には出来る気がしない。  僕の家は父子家庭だ。 母さんは僕が小さい頃に亡くなってしまって、今では記憶の中でさえ朧気な存在となった。 でも淋しくはない。それは彼女、家政婦ロボットが居てくれるからだ。 音量は桁を間違えるし、ロボットの癖にドジでよく転ぶし食器は割るし…。 「おいしいよ、ありがと?」 「ソレハ良カッタデス! 大好き!」 「はいはい僕もだよ?」 「行ッテラッシャイ気をツケテ!!大好き!!」 「はいはい僕もだよ?、行ってきます。」  やたらと『大好き』と付けてくるが、なんだかんだ救われている。 家事全般をこなしてくれるし、何よりも話し相手になってくれるから。 父さんは僕を食べさせていく為に毎日忙しく働いていて、時間が無いから。 だから、もし彼女が居なかったら? …と考えると、とても恐ろしくなる。 …無性に恐怖が沸いてくる。 いつかの喪失が、僕に孤独を恐れさせるのだろうか。
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