行き先

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 見えないお札が存在すると、私は思う。  無神経に自分の思いを発言してそれを頑なに正しいと言い、自分の中にある見えないお札を剥がしては次から次へと私の頭にペチペチペチペチ強くはりつけてくる人たち。  無意識にそうする人もいれば、意図的に行う人もいるわけで、私はそれを『社会人としての礼儀』として我慢していたけど、いつのまにか自分が嫌なことをされているということも忘れてしまっていた。そう、お札って溶け込んだり、奥に入りすぎてしまうこともある。そして、私自身ではもはや取り除くことができないほど、お札は溶け込んでしまった。  人が嫌いになり、自分も好きになれない。  大学を卒業して社会人三年目の夏、仕事を辞めてしまい、過去の嫌な出来事に引きずられ、毎日涙を流す日々が続いた。人生が思いもよらぬ荒野になった。  もうどうにでもなってしまえばいい。  全てが終わってしまえばいい。  そんな思いが心に渦巻く中、ふと神社に行くことを思いついた。  世界を飛び回る発明家の兄貴から譲り受けたくまのAIを片手で持ち、私は車で一時間先のココロ神社を目指すことに決めた。  二十五才の夏、私は助けを求める旅に出る。  足元にある靴を履き、その一歩を踏み出した。
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