出会い

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出会い

「今日から、そなたは 姫を守るお役目。  そして、子守り役 いつ何時も姫の  お傍を離れずしっかりと励めよ・・」  私は殿から直々に、殿の側近を務める父と  一緒に頭を垂れて『その言葉』を聞いた。 時は、戦国時代、 各地で権力争いが行われていた時代、 とある国を治める殿にお仕えする 我が『大木家』。 大木家嫡男、大木昭之助。 それが我が名。 年は、まだ前髪がある元服前の十三。 姫のお傍にお仕えする緊張からか 昭之助は心の臓がドキドキとするのを 感じていた。 「昭之助、おもてをあげよ」 と殿の声が聞こえた。 昭之助が恐る恐る顔を上げると そこには、黒髪に赤い小さな花をつけた 年は十くらいの愛らしい女の姫が座っていた。 「昭之助、『桜(おう)姫』じゃ」 と殿が姫の名前を教えてくれた。 その愛らしい姫が私の顔を見ると 「そなたが、昭之助か?」と聞いてきた。 「我が名は『桜姫』今後よろしく頼むぞ」 と言うとニコッと微笑んだ。 私は、あまりの愛くるしい笑顔に、 頬が紅くなるのがわかり、あわてて頭を 垂れ挨拶をした。 「大木昭之助と申します。桜姫様  以後、よろしくお願い致します」 これが、私と姫の出会いだった。
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