季節は巡り

1/1
前へ
/13ページ
次へ

季節は巡り

季節は、夏、秋、冬と巡り、 春の訪れを待つ季節となった。 殿が、家臣を集めると言った。 「桜姫を隣国に輿入れすることが決まった」 それを聞いて喜ぶ家臣たち。 殿が昭之助を見ると言った。 「昭之助、おまえには姫の護衛として  姫と共に隣国の城に仕えてほしい。  姫も、幼き頃から仕えているそなたと  一緒なら安心するのではないか。  どうじゃ、行ってくれるか?」 黙り込んだ昭之助が殿の顔を見ると言った。 「殿、もったいないお言葉とお役目。  しかし、このお話しお受けするわけ  には参りません」  昭之助の言葉に家臣が驚く。 「何か問題でもあるのか?  好いた女子(おなご)でもおるのか?」  と殿が昭之助に聞いた。 下を向いて何も答えない昭之助。 「まぁ、よい。返事は数日中に」 と殿は言い残すと部屋を出て行った。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加