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季節は巡り
季節は、夏、秋、冬と巡り、
春の訪れを待つ季節となった。
殿が、家臣を集めると言った。
「桜姫を隣国に輿入れすることが決まった」
それを聞いて喜ぶ家臣たち。
殿が昭之助を見ると言った。
「昭之助、おまえには姫の護衛として
姫と共に隣国の城に仕えてほしい。
姫も、幼き頃から仕えているそなたと
一緒なら安心するのではないか。
どうじゃ、行ってくれるか?」
黙り込んだ昭之助が殿の顔を見ると言った。
「殿、もったいないお言葉とお役目。
しかし、このお話しお受けするわけ
には参りません」
昭之助の言葉に家臣が驚く。
「何か問題でもあるのか?
好いた女子(おなご)でもおるのか?」
と殿が昭之助に聞いた。
下を向いて何も答えない昭之助。
「まぁ、よい。返事は数日中に」
と殿は言い残すと部屋を出て行った。
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