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ピリリリリリ
「…っんーーー?」
体が重い、というか眠い。なんだろう、部屋の中がなんだか明るい…。
頭がボーッとしたまま、けたたましく鳴り響くアラームを止めようと手を探る。
「…あっ!!!」
時間を見ると、朝の7時。昨日あの後、憂くんの部屋に泊まったんだった!!
明日2人とも一限からあるから、起きたら一緒に行こうって話したな。
「憂くん、おはよ!起きて!」
「んー……」
隣を見ると上半身裸で眠る憂くんが、不機嫌そうに身動ぎをした。布団の中で丸まったり、伸びたりして…猫みたいで可愛い。
「まだ……ねむ……」
「ダメだよー、遅刻しちゃうよ」
「んー…、叶羽くん起こして」
「いいよ、はい!おいで」
両手を伸ばしてきた憂くんをぎゅっと抱きしめて、自分の方へと起こした。
昨日の夜は、あんなにカッコよくて妖艶に感じていたけど…今はどちらかというと子供みたいに甘えてきて可愛い。
ゾクゾクするほど可愛い。
「んんぅ……」
「憂くん…」
「んっ、」
僕にもたれたまま目を擦る憂くんのおでこと、瞼にちゅっと何度もキスをした。さすがにボーッと僕を見ていた憂くんも、だんだん意識がはっきりしてきたようだ。
視点が合わさって、もう一度頬にキスをしたら、恥ずかしそうに口を引き結んだ。
「…おはよ」
「うん、おはよ。シャワー入る?」
「…はいる」
「起きれる?」
「…おきれる」
ああ、可愛い。
どんな憂くんの一面も、奥底にある姿も、誰も知らない部分も、全部僕のものにできるんだって。
そう思ったら、嬉しくてしょうがない。
「じゃあ、僕も入……」
そんな気持ちに浸りながらベッドから出ようと布団をめくる。すると、下着だけを履いた自分の足が顕に目に入って、一瞬固まってしまった。
自分の足という足の至る所に、赤い“痕”が残っているからだ。
「えええ」
慌てて洗面所へ行って鏡の前に立つと、そこにいる自分の体にはやはり。色んなところにくまなく痕が付けられていた。
そうだ…昨日、痕を付けられてる途中で寝落ちしてしまったような。もしかして僕が寝た後もつけてたのかな?
でも、ギリギリ服を着たら人からは見えない所にしかついてない。
「叶羽くん?どうしたの?」
「えっいや…、すごいたくさんついてるなって」
「昨日体中につけていいよって言ったでしょ?」
「うん…」
「一緒にシャワー入ろ」
背中からハグをしてそう囁いてきた憂くんは…もう昨日の憂君に戻ってる。
そして愛おしそうに、僕の首に触れるだけのキスをした。
「…嬉しくて、沸騰しそう」
「っふっ、あははは!沸騰するって…」
「な、なんで笑うの!」
「ううん。叶羽くん面白いなーって」
僕に見せてくれた、くしゃっとした無邪気な笑顔。
もう、全部独り占めしたいくてしょうがない…。
「でも、服着たら見えないね」
「うん。見える所にはつけない」
「なんで?」
「キスマが見えたら、他の人にエロい目で見られるかもしれないでしょ。叶羽くんをそういう目で見られたくない」
「えー…そんなことな……」
いや、そっか。
憂くんと再会してすぐの頃、一緒にご飯食べた時に憂くんの首筋にキスマが見えて…どうしようもなくドキッとしてしまったのを思い出した。
確かに、それだけで余計に色っぽく見えてしまった。
「そ、そっか。そういうものかな」
「うん、だから俺にしか見えなくて、俺しか触れない所につけるの。服の下はそうなってるんだって思ったら…俺だけが叶羽くんを独占してるって実感するでしょ」
「…っう、うん」
さっきまで眠そうな子供みたいだったのに、ずるい。
僕の心臓がもたないよ。
「あ!時間やばい!早く入ろ!」
「わっ待って待って!服!」
そうだ…!それと、今日行ったら俊太にも報告しなきゃ!
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