4人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
いつの間にか魔女が姿を消して、頭上に迫っていた底辺を、二本の足が踏みしめていた。
まるで潮が引くかのように、闇に染まった世界が薄まっていき、私の足元から伸びる影が少女のようなシルエットを描く。
伝承通りに、私の肉体が吸血鬼となって目覚めた時、私の目は極上の青を見ることができるのだろうが。
目が覚めた時の私は、果たして【私】であるのだろうか?
『だけど、人魚姫は幸せになれるよ』
願わくば、彼の孤独の痛みを、少しでも和らげる存在でありますように。
【了】
最初のコメントを投稿しよう!