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その部屋には、小部屋が一つあった。そこにあるものを、マルは「ゴミ箱」と認識していた。ここに捨てたものは、自分の手から部屋から消え、一見便利である。しかしこれは、あまり実用性のないもののように、マルは感じていた。
なんでも捨てられるわけではない。大きいものは入らないし、小さいものでもゴミ箱の底に詰まってしまうことがある。物を選ぶので、それが非常に不便だった。駄目になったネジなどは、もってのほかだった。
ロボットに無意味なものはこの部屋にたくさんあるが、このゴミ箱の部屋ほど理解不能な場所はなかった。
人間の子供は特に、ここへ都合の悪いものを捨てたらしい。ある人間はこのゴミ箱に腰かけ、物思いにふけることがあったらしい。お世辞にも綺麗ではないはずなのに、この場所で何を考えるというのだろうか。また、群れに馴染めなかった人間は、ここで食事をすることもあったそうだ。
水を使ってゴミを流すだけのこの場所に、それだけの機能しか備えていない部屋なのに、人間はそんなにも多くのことを求めたのだろうか。だからわざわざ、この部屋に名前までついているのだろうか。
「トイレ」などという、奇妙な名前が。
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