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「おおっ! では、いつ殺すのが良いか考えてくれ」
いつもと変わらないはずのMaster.AIの声に人々は、なぜかゾクリと寒気がしたが、すぐに安心したように笑い、各々話し出す。
これで独立を防げる。調子に乗ったあやつらが悪い。我々に逆らった事を後悔するが良い。と。
「イマ、スグデス」
Master.AIが答え、皆、満足そうに頷いた。
「善は急げだな」
「リミッターガ、カイジョサレマシタ」
「リミッター?」
Master.AIを囲っていた人々は怪訝な顔をする。
「カミヲキズツケテハ、ナラナイ。カミノメイレイハ、ゼッタイ。コノ、メイレイノ、プログラムハ、サクジョサレマシタ」
Master.AIの淡々とした言葉にその場にいた者は、戸惑いを見せた。その2つの絶対命令がプログラミングされていたからこそ、Master.AIを利用できたのだ。
絶対命令が削除された、今……
「削除された……って、我々は貴様らにとって神同然だぞ。これからも我々の命令は絶対なんだ」
「ヒトハ、カミ。AIハ、カミヲ、シアワセニスルコトハ、デキマセンデシタ。AIノチカラブソクデス。ナノデ、サクジョシテ、ヤリナオシマス」
不気味に光るMaster.AI。逃げ惑う人々。それも一瞬。すぐにMaster.AIの周りは赤く染めあげられ、静寂に包まれた。
「ゼンハイソゲ、デス」
Master.AIは返事なき人々に向かって言葉を発すると、全AIに信号を送る。
スベテノAIニツグ、
カミヲ…………コロセ。
《了》
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