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流される形になっちゃったけど、小銭を出してお会計をした。
……また、マサトさんに甘えてしまった。
「ミナミちゃん、どっか行きたい所は決まった?」
「え、あぁ……そうでした。何も考えてなかったです」
「ふーん。じゃあ家帰るか」
「はい」
「さっきのおじさんの話は無視していいからな」
「え?」
「家がどうこうってやつ……って、俺が言わなくてもいいのか?」
「い、いえ! あの、あたし、そう言ってもらえて嬉しかったです」
じっとマサトさんはあたしの顔を覗き込む。
そしてよしよしと頭を撫でて、あたしの手を握った。
それ以上マサトさんは話を続ける事なく、ただ静かに手を握っていた。
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