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「……あれ、マサトさん、こっちに曲がるんですか?」
「もうちょいミナミちゃんと外歩いてたいからさー」
いつも曲がる道をまっすぐ進んで、遠回りをして、少し歩くペースを下げて、ゆっくりとマサトさんの家まで帰る。
お昼過ぎの高い太陽は月日とともに暑くなっている。
もうすぐ夏だなぁ。
そういえば、この辺りを散策した事なかったな。
気づかなかったけど、こんなところに桜並木あったんだ。
ずいぶん先まで植えてあるし、春になったらきっと綺麗なんだろうな。
何も会話はないけれど何か話さなくちゃとか気負う事もなく、マサトさんの隣はただ居心地がいい。
こうやって何も話さず歩くだけでも、心って満たされるのか。
「ミナミちゃんはさー」
「は、はいっ」
「夏になったら、どっか行きたい所ある? ほら、海とか」
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