夢で逢いましょう

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私は何も言えなかった。 というか、展開に着いて行けなかった。 多分彼女は男の人達に凌辱されたのだろう、その位は私の年齢では察する事は出来た。 でも彼女が微笑んでいたので何も聞けなかった。どうしてこんな酷い事をされて微笑んでいられるのかも、全く分からなかった。 私は真っ白になりながら深雪さんの側にいた。心配というより不思議でならなかったからだ。 深雪さんがポツリと言った。 「ねぇ、貴女って本当は誰?」と。 ドキッとした。 今まで聞いた事がなかった質問。 何で?今??何て答えれば、、、私は焦った。逃げようかなとも思った。 思案していると深雪さんは私の手首をそっと持ち言った。 「ごめん、ほんとはそんな事どうでもいい。夢の中だけでも貴女がいてくれて私は嬉しい。だから怖がらないで。ね?もう少しここにいて。」 すがる様な瞳で私に訴えかけてくる深雪さん。 「夢の中、、、って、、、深雪さん、、」 私と同じ???と続けたかった。 言う前に深雪さんがゆっくりと頷いた。 「どうしてだろうね。私にも分からない。でも私は貴女が必要だった。恥ずかしい所もいっぱい見せちゃって怖い思いもさせちゃったけど、私は貴女を害さない。ただいてくれるだけで、いい。」 私は全てを見抜かれている様な気がした。 でも深雪さんの言葉は優しく、本当の気持ちなのだと思った。 中学生の私に出来る事と言えばこうやって側にいる事しか確かに出来ない。 でも、、深雪さんも夢の中を旅しているのって、、そうなの??? 初めての真の理解者が現れて、私は孤独だった自分の意識が少し和む様な気がした。 深雪さんに起こった事件には申し訳ないけど。 本当はもっともっと今までのこの夢の中の現象について話し合いたかった。 けど、深雪さんは私の手を掴んだまますやすやと眠りに付いてしまった。 衝撃的な3日目はこれで終わった。 流石に4日目は眠る事に躊躇した。 会いたくないと思えば会わなくてもいい存在。 昨日があまりに衝撃過ぎて、そして私には抱えきれない重さもあった。 でも、初めて会った共感者。 私はひどく悩んだ。 誰にも相談は出来ない。 けれど今日も眠ると昨日の様な場面に出くわすのはとても恐ろしかった。 暫く悶々と考えていたが私はそのまま眠ってしまった様だ。 今日の夢の中は快晴で、しかも外だった。 少し小高い丘の上にいる人影が私に向かって手招きしている。 芝生の青さと逆行でよく見えなかったが、満面の笑みを込めた深雪さんだった。 とりあえずはホッとした。 あのワンルームにはもう二度と行きたくない。 しかも深雪さんは笑顔だ。 見晴らしのいいちょっとした大きな公園の様でもあり、どこかの山の開けた場所かも知れない。私は深雪さんに駆け寄った。 今日こそ聞きたい事が沢山ある。 「ねぇ、ここがどこだか分かる?」 深雪さんが芝生に腰を下ろしながら言った。 私には見たことがあるかも知れないし、ないかも知れないし、至って普通の何もない芝生の上で目印になる様な建物とかは一切なかった。でも芝生の景色なんてどこにでもあると思った。 私が首を横に降る。 「だろうね。だってこれは私の夢の中の景色だし、私も覚えていない景色だもん。」 ちょっと言ってる事が分からない。 確かに深雪さんの夢の中だけど、深雪さんにも見たことがない景色って、、、? 「私ね、今現実にはどこにいると思う?」 はにかんだ顔で私に訪ねる。 え?ここじゃないの? いつも夢の中の場所は現実の場所とリンクしているはず、、、 私が困惑していると深雪さんは続けた。 「私今現実には刑務所にいるの。」 深雪さんは笑顔で言った。 は???どういう事?? 「もうずっと前から刑務所だよ。貴女が始めて私の夢に現れた時もね。」 私の今までの夢の中の方程式が始めて狂った。 深雪さんの話を纏める。 彼女は22歳で新しい彼氏が出来た。 恋愛をするのは始めてではなかったので当然男女の関係になるのも普通の事だった。 暫くはその恋愛に夢中で毎日がそれこそ夢の様に楽しかったという。 けれど3ヶ月経った頃から彼氏に誘われ薬物に手を出す様になったという。 それが悪い事だと分かっていたけど彼氏と離れるのが嫌だった深雪さんは一度だけ手を染めた。 確かに爆発的な興奮とやる気と快楽がそこにはあったらしい。 でも二度目は拒否をした。 すると彼氏は豹変し半ば無理やり彼女に薬物を投入した。 彼女は別れを決意した。 彼氏は同意してくれた。 別れられると思っていた。 そのすぐ後に深雪さんの意識は無くなって、気がついたら身体中の痛みと重みと下半身のえぐる様な痛みで目が覚めたという。 自分が何人もの男性に犯されている事に気が付いたけれど、声は出せなかった。何かで口を塞がれているみたいだった。 意識を取り戻した深雪さんを見た獣の様な男達は余計に歓声を上げ喜んでいた。 恐怖と苦痛に歪む彼女に暴言を吐き、煽り、様々な拷問を与えられた、と。 動画や写真も撮られ、彼女はもう逃げ場は無くなって行った。 彼女の上を通り過ぎる蹂躙は何度となく行われていった。 私が昨日見たのはただの一ページでしかなかった。 デートにウキウキしていたのはずっと昔だ。 初日ベッドの上で呆けていたのは色んな事に絶望していた彼女だ。 私は、、、何にも分かっていなかった、、、 とはいえ、それはたまたま偶然夢の中で出会っただけであってそこに私が責任を感じる事でもない。 けれど、そんな酷い事がこの目の前の女性に襲いかかっていたとは、、、それを目撃してしまうとは、、、何で私なんだろう、、彼女は私に何を示したかったのだろう、、、
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