6.勘違いでプレイ開始?

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6.勘違いでプレイ開始?

 その後案の定仕事はめちゃくちゃ忙しくなり、社長主催の飲み会の日に時間をつくるためにはその数日前から会社に寝泊まりしなければいけないという状況になった。 「くっそ。だから嫌だったんだよ」 「ですよねぇ。先輩、俺今夜もがんばりますよ」  津嶋が眠そうな顔で言う。 「いいよいいよ。俺と山村さんでなんとかしとくから今夜は一旦帰ってベッドで寝ろ」 「いいんですか?」 「ああ。その代わり明日の朝早く来いよ」  飲み会当日、俺は会社で二時間ほど仮眠した後朝から仕事をそのままこなした。そして社長のくだらない飲み会に、フラフラの状態でなんとか駆けつけた。 「お疲れ様ですー」 「おお、西岡遅かったな」 「おいおい、お前その顔大丈夫か? クマやばいぞ」 「まあ、いつもこんなもんす」 「お前たちのチームどうにかなんないのかねぇ」  社長に聞こえない位置で俺たちは小さな声で愚痴った。久々に飲んだ酒は寝不足のせいで一気に回り、俺は一次会で帰るはずがタイミングを失った。  そして二次会の終盤にはすっかり出来上がっていた。目の前にあった酒をあおるとやけに甘い。 ――なんだ……酒じゃなくてミルクティーじゃん? 「あれ~、西岡さん私のカルーアミルク飲んじゃってるじゃないですか」  隣の席の新人がおかしそうに笑っている。経理課の――なんて名前だったかな。頭がぼんやりして思い出せない。 「あんたもミルクティー……好きなんだ……?」 「はい? だ…らこれ、カルーア……クですよ。ああ、もうなんか聞こ……な……」  話もよく聞こえないし目が回るので俺はテーブルに突っ伏した。 ◇  次に目を開けたのは、煌星が俺の肩を揺すって起こしてくれたときだった。 「起きてください」 ――あれ、いつの間に俺家帰ったんだっけ……? 「んん~……やだ眠い」 「しっかりしてくださいよ、もう皆帰りましたからね。ほら、俺たちも行きましょう」 「……もう歩けない」 「参ったな――」  テーブルに頭を乗せたまま煌星を上目遣いに見る。 「抱っこして煌星……」 「だっ? え、あの、西岡さん?」 「……もうベッド行きたいよ」  手を伸ばしてもなぜか抱きとめてくれない。  「お願いします。抱っこして煌星」 「あ、えー……と、すんません。俺家知らないんすよ」 ――ふざけてるのかな。疲れた、寝たい……煌星に寝かせてもらってすっきりしたいのに……。  またまぶたが落ちてきて俺はテーブルの上で目を閉じた。どこかでスマホの着信音がしている。 「あ、もしもし! すいません、はい。あ、はい。これ西岡さんのスマホで……」
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