神さまからの求婚

3/3
前へ
/79ページ
次へ
「……私が死んだら、想いとともに、土に還してくれますか? 私はそこから、弧之善様を見守っていきたい。月湧を守っていく弧之善様を、見守っていきたいです」  月湧が好きだ。生まれ故郷だからというだけでなく、弧之善が守る土地だから。その地で弧之善と恋をし、死んだら土地を見守っていきたい。弧之善は穏やかに微笑んでくれた。 「約束しよう。私と一緒に、この村を見守ってくれ」 「じゃあ、約束」  光月がそう言って小指を差し出すと、弧之善もくしゃっと笑って小指を絡めてくれた。  頭上にもみじが揺れる。空は快晴。きっと夜にはきれいな月が出るだろう。      月湧(つくわく)の化粧うるはし宵の山 ひかり降らせよ雲のまにまに     <完>        
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

220人が本棚に入れています
本棚に追加