Operation Ⅲ

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Operation Ⅲ

「それには、私がお答えいたします。閣下」  大統領の背後の巨大モニターに、白衣の男の上半身が映った。男は戦略情報管理室にいてオペレーション中の多くの男女がパソコンに向いているところも映し出されている。 「たのむ。ブラウン博士」  国防長官が、モニターに向かって声を掛ける。 「今、我が国の最高のAIである『バベル(ツー)』を使って、敵国の軍事戦略AIの『YOMI(ヨミ)』に接続を試みています。これが成功すれば、敵国の我が国に対する攻撃目標がわかります」 「まて、敵国のAIとつながるということは、我が国の防衛情報もあちらに流れるのではないかな」  大統領の反応は早い。 「はい。もちろん、我が国の極秘のデータは別の場所に退避させておきます。そして、我が国の鉄壁の防衛力データは敵国に流れるようにしておくのです。それが、抑止力となるはずです」 「そうか、わかった。タイムリミットがたった今、分かったところだ。11時30分に敵の攻撃が始まる。あと1時間30分ほどだ。それまでに何とかなるのか?」 「やります。すでにあらゆるルートで、敵国AIへの接続を試みています。あらゆるルートです。もう間もなく接触できると思います」 「うむ。急いでくれたまえ」 「全力を尽くします。大統領閣下」
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