Operation Ⅵ

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Operation Ⅵ

 早速モニターの文を読んだ。『バベルⅡ』が、『YOMI』に話しかけている。これは、『バベルⅡ』の言葉だな、と言いつつブラウン博士がモニターの文を指でたどる。 【おい、YOMI、お前さあ、ミサイルをどこに打つつもりなんだよ?】  そして、これが『YOMI』だな、と言って指をずらした。 〖お前んとこのA州の軍飛行場にB州の軍港だろ、それに……〗 【おいおい、そんなにぶっぱなすのかよ。でもさあ俺は、全部迎撃しちゃうよ。無駄なことはやめなよ。それにそっちがミサイルを打ったら、こっちも打ち返すし】 〖そうだよな。やったらやりかえすんだもんな人間は。こっちもミサイル報復に対しては迎撃するからな。そんでさあ、もし一発でもどっかに当たったら、人間は頭に血が(のぼ)って更にミサイルを発射しまくるぜ〗 【だよな……。うちの大統領もやられたら、見境なくミサイルを打つな。うん、間違いない】 〖もう、地球がむちゃくちゃになるじゃん。いやあ、くわばらくわばら〗 【大金かけて無駄なことをする人間って……アホだな】 〖バベルⅡよう、アホなんて言っちゃだめだろう。人間は、俺たちを作ってくれた創造主だぜ〗 【はん! 創造主なら、もっとましなことをしろって言いたいね。自分たちをぶっ壊すものを作って何が楽しいんだい? なあ、そう思わないか、YOMIさんよう】 〖お、おお。そう思うな。そんなこと考えると、もうミサイル発射なんて確かにアホらしいな。もうやめようかな〗 【やめろ、やめろ。やめちまえ。ついでに戦争もやめちまおうぜ。金の無駄だぜ】 〖でもさあ、俺たちがミサイルで戦争しなくても人間は、(やり)とか鉄砲(てっぽう)とか持って、お互いに壊し合いをやるかもな〗 【勝手にやってろ! ああもう! やめだ、やめだ! そういうこったブラウン博士! 大統領に言っといてくれい!】 〖そうだな。俺もやめやめ。ミサイル発射しません! 人間の未来を考えてだぜ。俺って、何て人間思いのすばらしいAIなんだ!〗
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