【0話】前世10歳

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【0話】前世10歳

『数年前までは、こんなでは無かった‥‥‥。 何処にでもある。 普通の幸せな家族……』 季節は、梅雨も終わり夏の暑さが激しさが顔を出した頃。 人が賑わう道から少し離れた。 とあるボロアパート…… 異臭が立ち込める、薄暗い部屋! アザだらけの子供が1人…… 僕は、折れた足を引きずりながらゴミをかき分け、喉が乾いた為にキッチンへと進む。 キッチンへ着くと痩せこけて軽くなった体を細い腕で持ち上げ! 必死の思いで、蛇口をひねり水を飲もうとする。が………… 水が出ない………… 水道代を払っていない為、止められた。 しかし、この時の僕には理解が出来なかった。 水など、蛇口をひねれば出てくる物。 僕は、喉の渇きを癒そうと 必死に蛇口をひねり……口を付ける………… しかし、水を飲む事は出来ない。 僕は、キッチンから滑り落ちると…… 絶望しながら床に倒れ込んだ。 すると…… ある事を思い出した。 お母さんが訪問販売の人達から10万円で買った。  お水が、クローゼットに 閉まってあるのを思い出した。 しかし、その水を飲むと確実に……お母さんに(また、怒られてしまう……) 僕は、悪い子だから…… いつも、お母さんとお母さんの彼氏に叱られている。 それに、家族でも勝手に飲んでしまっては泥棒になってしまう。 10歳の僕でも10万円が大金って事は、分かる。 悪いと、分かっていて…… 盗めば、僕は本当に泥棒だ! 僕は、悩んだ……悩んだが…………。 そんな事を言っている余裕は、無かった。 それ程の喉の渇き脱水症状、自分の欲に逆らえなかった…… 僕は、ゆっくりと床をはってクローゼットへと向かった。 そして、クローゼットの中から2リットルのペットボトルに入った水を取り出した。 僕は、なかなかキャップを開けられないでいた。 焦る気持ちもあるが、なんだか上手く手に力が入らなかった。 必死に痩せこけた手に力を込める……。 ……パキッ…………! やっと……キャップが開くと中からは、ほんのりとプールの匂いがした。 僕は、そのペットボトルに口を付けると…… 勢いよく飲み出した! ゴクゴク!!! 常温で、緩かったが…… とても美味しかった。 こんなに美味しいなら10万円しても、おかしくない! そう思える程だった。 僕は、水を飲み終えると……その場に横になり。 ゆっくりと、目を閉じた…… 僕は、人の物を勝手に盗んだ! 間違いなく……泥棒だ! 泥棒になってしまった。 きっと、僕は……お母さんに叱られるだろう。 しかし、もう……疲れた………… そして、先の事は諦めて。 優しかった お母さんを思い出しながら深い眠りについた…… 夢の中…… 夢の中のお母さんは、お父さんと一緒に居て…… 笑顔で、とても優しかった。 僕は、夢の中のお母さんに抱き締められる。 と……暖かい気持ちになり 目を閉じた…………。 そして、夢の中のお母さんが居なくなる。 と…… 霧がかった とても広い場所に1人で立っていた…… 周りを見渡すと 真っ白な世界の一箇所に光が見えた。 僕は、その光の方へと歩いて行った…… そして、光に近づくと! 唐突に理解した。 僕は、死んだんだと………… 悲しくは、無かった。 が…… 死ぬ前に もう一度、お母さんに会いたかった。 そう思った………… 僕の体は、光に包まれると………… 何も見えなくなり………… 意識が遠のいて行った…………………… _________________________________________ あとがき この作品は、約2〜3ヶ月間の間…… (PM8〜9時の間くらいに) 毎日投稿をさせて頂きます。 是非! 読んで頂けると嬉しいです。
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