【149】説得

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【149】説得

僕は、鬼人達に三英雄のダンジョンの事! 鬼人の封印の事、それを解除したせいで紅姫が捕まった事を伝えると…… 「・・・・・・。」 「と、言う事なんです! だから、力を貸して下さい。」 「俄には信じられない……」 「人間の言う事なんて信じたら騙されるだけだ!」 そんな言葉も飛び交っていたが、紅姫の父親である。 紅蓮さんだけは、信じてくれた! 「もしかすると、この者と一緒だったから三英雄のダンジョンに入れたのかも知れない。 それに、この者の話が本当なら紅姫は鬼人族の族長となる! そして、この者……天音さんと言ったかね。 彼もまた、我々を束ねる者となる!」 「・・・・・・?」 「しかし、それを信じるに値するだけの証拠がない!!!」 「そうかもしれん……。 しかし、私は娘が選んだ人だ! 娘を信じて彼の軍門にくだる事にするよ。」 「俺達は、信じないぞ!!!」 「それも良かろう。 ワシは、彼を信じるよ!  彼は、ワシらに手を出しておらん……。 死ぬ為に来た訳では無いのであれば、彼は何の為にここに来たのか分からんからな。 きっと、彼の言っている事は真実なのであろう。」 「では、貴方も人間なんかの下につくのですか!?」 「人間の下につくのでは無い。 族長になる者のツガイに従うのじゃよ!」 「…………ツガイ? つがいとは、何ですか?」 「お主は、ツガイも分からんのか!? つがいとは、人間で言うところの夫婦じゃよ!」 「誰と? 誰が……?」 「お前と紅姫がじゃよ!」 「何で?」 「……何でと言う事も無かろう。 私の娘は、お前さんを旦那と決めたから…… その自分のツノを模ったアクセサリーを渡したのだよ。 だから、お前さんの言う事が事実であれば 紅姫は族長となり!  その旦那であるお前さんも同じ立場となる訳じゃ! まぁ、正確には! 族長補佐と言う事になるのかのぉ〜」 「ちょっと待って、僕はそんな話……全く聞いてないよ!」 「何言ってんだ? お前は…… 普通に女性からツノのアクセサリーを貰ったら断る男は、いないだろ!」 「僕には、その普通が分からないんだよ。」 「別に良いじゃねぇか! 嫁なんて何に居ても困らねーだろ! 人間だって沢山ツガイを連れている者もいるだろ! なら、何の問題もないだろ。」 「いや、でも……」 「なら。 鬼人族は、お前に力は貸せないが……それでも良いのか?」 「それは…… 分かりました! 僕も覚悟を決めます! 皆さん力を貸して下さい。」 「私は、もともと君に従うつもりだったよ。」 「ワシは、ツガイとなったなら何の文句もない。」 「俺も信じるよ!」 「俺も!!!」 「では、天音くん! 君を族長代理と認める。」 そうして、全てでは無いが数十人の鬼人達が天音の元に跪くと…… 「俺達は、そんな得体の知れない奴に従う事は出来ない!!!」 そう言って、他の多くの鬼人達は仲間にはなってくれなかった。 なので、僕は仲間達が来る間! 鬼人達の説得をする事になった。
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