あいの燦爛たる復讐構想

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俺は天才だ。 昔から勉強で躓いたことなんてないし、教科書だって読んだだけですべて理解できた。 だから女子にもちやほやされていた。廊下で歩いていると女子が遠巻きに甲高い声を上げていた。 運動もできた。筋肉がしっかりついていてたっぱもあった俺は力も強く、近付くと相手は後ずさっていった。 成人した今もワンルームで様々なところから集めたアンティークに囲まれてIT系のリモートワークをしている。 でも満たされない。 ナニカが満たされない。 順風満帆な生活なのにどこかが渇いていた。 その時だった。一種の運命か。 自分の思考を埋め込み、限りなく人に近いAIを完成させたという記事を見つけた。 即座に記事を読むが、結局ソフトはソフト。想像の範疇だった。 でもそこである一つの考えが浮かぶ。 俺なら、この天才の俺なら、人間よりも人間らしいAIを作れるのではないか。 きっと誰も成しえていない。スクリーンの中で自由に動き、意思を持つAI。 興奮して身体が熱くなる。 そうと決まればまずは、どんな子にしようか考えないと。 人間のように動くために細かいデータが必要だ。 体形とかでも全然違うだろう。 人間の体ってどう動いている? 教科書で見た骨格図鑑とかじゃなくてもっとちゃんとした… そうだ。 そもそもそんなのを見て作るからいつまでたっても創作物は創作物のままなんだ。 俺はそんなちゃちなものじゃなくて本物の人間のように…。 そうか。本物の人間だ。 じゃあ、女子高校生を殺すか。
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