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夢
誰かに呼ばれている。
そう思いながら目を開けると、目の前には一匹の黒猫と50代くらいの男がいた。
「お、目が覚めたか。気分はどうだ?」
男が問いかける。
「大丈夫です。あの、あなたは…。」
「俺は案内人。こっちは相棒。」
"どこへの"案内人なのかは聞かずとも分かった。私は成功したのだと。
黒猫が一鳴きし、行くぞと言われ立ち上がる。体が軽い。
「お前年はいくつだ。」
「18。」
「じゃあ高校生か。」
「一応卒業はしました。」
「なんでこっちに来たんだ。」
「決めてたから。」
一問一答を繰り返しながら歩いていく。
ふと案内人の男が止まり、前を見ると扉が立っていた。
「ここから先はお前の旅路だ。俺はお前が迷わないように案内する。」
了解の意を込めて頷くと、男は扉を開ける。
私はどんな旅路を歩むのだろう。
後悔に苛まれることはないだろう。そうでなければここには来ない。だが、かと言って喜びに満ちるものでもないだろう。
どんな旅路であれ、私は私と向き合うことになる。言い表せない直感が私にそう告げる。
「これから四十九日間よろしくな。」
男はそう言ってニカッと笑い、歩き出す。
黒猫がまた一鳴きし、私も男の後を追って歩き出す。
これは二人と一匹による四十九の「花夢路」の記録である。
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