デジタル・プロミス

1/5
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
 ひとりぼっちだ。  教室の窓から、日の当たるグラウンドを見下ろす。昼休みだから、このクラスの男子はほとんどがサッカーをするために集まっている。ぼくも去年までは、昼休みになるたびに友達とサッカーや鬼ごっこをして遊んだものだった。こことは違う学校、違うグラウンドだけど……。 「ケン君、一緒にお弁当食べない?」  声をかけられて見ると、クラスの学級委員長をしている女子が立っていた。この子のことが嫌いなわけじゃないけど、女子と一緒に弁当を食べるってのは違う。きっと、転校したての僕を気遣ってくれたんだろうけど……なんだかちょっと、そういうのは恥ずかしい。別に昼休みにひとりで弁当を食べるくらい、どうってことない。もう十二歳なんだし。  僕が首を振ると、女子はあっさりと頷いて、別の女子と食べ始めた。ほらな、僕に興味があるってわけじゃないんだ。  あーあ。見晴(みはらし)小学校だったら、ひとりでいたら絶対リクが話しかけてくれたのに。それに、ダイやカイトだって。  母さんがいつも入れてくれる美味しいウインナーの味が、最近はいまいちわからない。母さん、味付け忘れてるんじゃないのか。昼休みはまだ始まったばかりで、終わりを告げるチャイムはまだ三十分は鳴らない。ため息をつきながら、残りのご飯を口に詰めていく。そういえば、と、あることを思い出し、カバンの中からキッズスマホを取り出す。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!