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空陽にデコピンして、俺もバスローブの紐をほどいた。本当は真っ裸で出てきても良かったんやけど、コイツの求める「マナー」とか「雰囲気」にそぐわないらしい。正直、そんなもん俺にはどうでもよくて、早く空陽と繋がりたくて身体がうずうずしている。
ローションをたっぷり手に絡めた後に自分の失態に気づいた。
「・・・あ」
「ん?」
「ゴム忘れた」
「アホやな」
漫才のようにテンポよく会話が進むことが悲しい。
「えっ、えっ、お前持っとらん?」
「・・・バッグの中」
「おお、良かっ・・・あ、俺、手・・・」
「・・・俺がつけんの?」
嫌そうな顔をして空陽が起き上がり、暗がりの中、手探りで自分のバッグからコンドームの袋を取り出した。ビリっとビニールが破ける音がする。早くしろ早くしろ、と思っていたら突然ククク、と空陽が笑い出した。
「何笑っとんねん、早くしろ、零れる!」
「ちゃう、これ、めっちゃ光るやつやった・・・」
「は?」
空陽の手を見ると、丸い形がぼんやりと光っている。
「無駄にロマンティックやな」
「ティック言うな」
「なんでそんなもん選んでん」
「沖縄のお土産やって、先輩がくれてん」
光るコンドームのおかげで空陽が戻ってくるのが正確に分かる。
とりあえず足を広げて空陽の方を向いた。
くるくるっとコンドームが装着されていく。暗闇に光る棒が登場した。
ブハッと空陽が噴き出した。
「なんか、神々しいな」
「当たり前やろ、俺やで?神聖やん」
「どこがやねん」
「もう、ええから。早く横になれお前」
「ほいほい」
すっかり掌で温まったローションを空陽に塗り込む。
「あー、まあ、そっかぁ」
「ん?なんやねん」
「俺も塗ってもらってるんやから、今度から俺がつけたるわ」
「・・・とか言って、この光るやつ、全部俺で使い切ろう思てるやろ」
「バレたか」
「・・・やっぱ、お仕置きが必要やな」
空陽の入り口にいきり立った俺自身をグッと押し付ける。そのまま撫でるように擦った。
「はは、ごめんごめん・・・」
ローションがはじける音が部屋に響く。セックスの時は灯りはつけないことがお互いの中のルールなので、コイツが今どんな表情をしているのかを確かめることはできないが、身体の準備ができているかどうかは息遣いで判断できた。
だんだん空陽の腰が小刻みに揺れて、息がハ、ハ、と小さく漏れる。ああ、感じてる感じてる。呼吸を塞ぐようにキスを落として、空陽の会陰部にグッと押し付けた。
「んぁっ・・・!!」
喉が絞まったような高い声を出して、空陽の腕が俺の背中に回った。そのままぐりぐり押し付けていると力の抜けた手で頭をパチッと叩かれた。
「・・・そういうの、いらん」
「言ったやろ、お仕置きやて。あ、でもこの場合、お前にとってご褒美になってまうかな。お前、ここ好きやもんな?」
「よう言うわ、自分で、開発、した、くせにっ・・・あっ、あっ」
「なあ、もう挿れてええ?出そうやねんけど」
「・・・まだ、だめ」
「なんで」
「もーちょい、待って」
「やから、なんでや」
イライラしてくる。空陽のこの態度。年は俺の方が1つ上のはずやのに、なかなか主導権を握らせてもらえない。けど、「待て」ができるのはそっちでも、
「よし」と言われたら形勢逆転できることを忘れるなよ、と思う。お前のこと攻めて攻めて訳分からんようにできるのはこっちなんやからな、と。
「もう無理。挿れる」
「・・・」
「・・・おい」
「雄飛の、余裕ない顔、おもろいなー思て」
「俺は、お前のその余裕が腹立つねん」
ニヤリと笑った空陽の両足の間に入り、腰を掴んでグッと挿入させた。
暗がりの中で、空陽の顔が歪んだのが見えた。
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