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婚約破棄は突然に
「会社をクビになるかもしれない⁉ そんな急に、いったいどうして?」
私は目の前にいる彼、守里 流の話を聞いて驚きを隠せないでいた。流は一流企業、神楽グループの正社員で営業成績も優秀だと聞いている。そんな彼がどうして……
すると流は顔を上げて申し訳なさそうに私を見つめて、その理由を話し始めた。
「神楽グループには御曹司である神楽 朝陽という男がいるんだが、そいつが少し変わった人物らしくて。御曹司という立場を使って、強引に【階級別社員雇用システム】という計画を実行するつもりらしい」
「なに、それ? それがどういったものなのか、ちょっと分からないのだけど」
神楽グループには次期代表取締役と言われる、御曹司の神楽 朝陽という男性がいることは知っている。彼はテレビやラジオでもイケメン御曹司と持て囃され、忙しい毎日を送っていると聞いたことがあった。
……だけど、その御曹司の計画とやらが流のクビとどんな関係があるというのだろうか?
「でも、流は優秀な営業だって言ってたじゃない。いつも成績だってトップなんだって、それなのにクビなんてどう考えてもおかしいでしょう?」
「そうなんだけど、あの男の考えてることはちょっとおかしくて。だけどごめん、鈴凪。俺、お前と約束していた結婚は出来そうにない。申し訳ないけれど、今日を最後に別れてくれ!」
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